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秋は色々な実りをもたらしてくれますが、お月見団子の原形とも言われるサトイモもその一つですね。サトイモのヌメリ成分はガラクタンやムチンという水溶性食物繊維で、ガラクタンは脳細胞を活性化させる、免疫性を高めるなどと言われ、ムチンも肝臓を強化するとか、滋養強壮作用があるなどといわれ、その健康効果が注目されています。
こうしたサトイモの恵みをたっぷりいただけるすてきな郷土料理を教わりましたのでご紹介します。新潟に伝わる「いもこ味噌」です。
材料は、サトイモ、煮汁用調味料として砂糖と味噌、ダシとして煮干し、そして水です。
サトイモは様々な種類があり、大きさが異なりますから、何個と分量を書きにくい素材ですが、
・サトイモ 400g
・水 3カップ
・砂糖 大さじ1
・味噌 大さじ1
・煮干し 2〜3本
が分量の一例です。
煮干しは頭とハラワタを取り、分量の水に一晩沈めておきます。調理前に引き上げてください。
サトイモは皮をむき、適当な大きさに切ります。どうせ煮崩れるまで煮るので、かなり適当な切り方で構いません。
鍋にサトイモを入れ、煮干しでダシを取った水を注いで火にかけます。サトイモも土の下に出来る作物ですから煮るのは水からですね。しばらく煮たら竹串でサトイモを刺してみます。スッと通れば火が通っているしるしですから、ここで砂糖と味噌を加えます。
さらに弱火でコトコト煮込みます。焦げ付かさないように気を付けてください。注意はそれだけ。そのうちサトイモが煮崩れてぐちゃぐちゃになってきますが、それでいいのです。煮崩れて汁気も飛んでトロトロになってきたら完成です。味を見て、もう少し濃い味がいいと思えば調味料を足し、少し煮込んで味を落ち着かせてください。
これをどうやって食べるかというと、そのままおかずとして食べてもいいですが、温かいご飯にかけてたべるとこれがうまいのです。ちょっと柚子皮などを振りかけてやると、さらに風味が増しておいしいです。
山形などでも芋煮会で作る汁を「いもこ汁」「いもこ鍋」などといいますね。私はこの「いもこ」という呼び方が大好きです。サトイモのことをとても愛している感じがするからです。サトイモの食べ方には色々ありますが、素朴でおいしく、焦がさなければ誰が作っても失敗のない「いもこ味噌」をぜひお勧めします。雪深い地方の、冬を控えた秋の味です。