「雨の日はアーケードのある商店街めぐり」by id:tough


雨の日の濡れない散策には地下街も捨てがたいですが、人情味ある昔ながらの商店街の面影が残るアーケード街もいいものです。


日本には昔から道路に屋根を付けた商業スペースが発達していました。たとえば古くは江戸時代の「庇下」。これは今も多くの商店街に見られる歩道上だけの片側アーケードと同じような物で、最初は長屋の庇として発達したようですが、後に商業空間となっていきました。雪国でも店どうしの軒先の庇を連ねて、雪をかかなくても人が歩ける通路とした雁木(あるいは小店)と呼ばれる方式がありました。


大きな商店街に見られる道路全体に屋根を付けた方式は、古くは「共同日覆い」などと呼ばれ、初期のころは雨除けというより、強い日差しから商品を守るのが主な目的だったようです。日差しが強く海産物などが多く商われる瀬戸内沿岸の地域などには、戦前からこうした商店街があったようです。


現在のアーケード街は、東京だとまず秋葉。電気街口前のマイウェイ1・2商店街ですね。以前の秋葉のイメージが残る、ごちゃごちゃしたアーケード街です。でもそれが楽しい。


浅草には下町情緒の残るアーケード街がたくさんあります。浅草の名を冠した商店街だけでも、浅草新仲見世商店街、浅草観音通り商店街、浅草ひさご通り商店街、浅草すし屋通り商店街、浅草西参道商店街…。まだあるかな。抜けている商店街がありましたらご勘弁ください。


中央沿線にも楽しいアーケード街が色々あります。中野駅北口前の中野サンモール商店街、高円寺駅南口前の高円寺パル商店街阿佐ケ谷駅南口付近からはじまる阿佐谷パールセンター、そして吉祥寺駅前のサンロードとダイヤ街。


阿佐谷は、西の高架下がダイヤ街、東の高架下がゴールド街、そして線路から直角に延びる商店街がパール。みなジュエリーの名前になっています。どれも庶民的なマチですが、こうした命名から、戦後から高度経済成長期にかけての庶民の憧れが分かる気がします。


吉祥寺のダイヤ街も同じようなイメージでの命名だと思いますが、現在の同商店街の公式横文字表記は「DAIYAGAI」。宝石のダイヤのスペルではなくなっています。もしかしたら「大野外」といった言葉とかけているのかもしれません。


東京のアーケード街はどれも歴史が古く、その多くが改修され、デザインも現代風にリニューアルされて現在に至っています。でもどこか下町風。駅ビルや地下街とは違った空間が広がっています。雨を気にせず楽しい散策。私はそんな梅雨時のアーケード街が大好きです。


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