「冬の食中毒から家族を守る」by id:TinkerBell


食中毒というと食べ物が腐りやすい梅雨時や夏などに起こりやすそうですが、冬にもありますよね。
そうです、ノロウイルスです。
これによる胃腸炎や食中毒は年間を通して発生していますが、冬は特に流行しやすいと言われています。
元が健康な人なら感染しても軽い症状で済むことが多いみたいですが、小さなお子さんやご高齢の方、その他色々な理由で体が弱っている人は要注意。
また、軽い症状でも嘔吐を伴うと、吐いた物が気道に詰まって窒息したり、肺に吸入されて重い肺炎を起こすなどの危険もありますから、甘くは見られません。
ノロウイルスのワクチンはまだありませんから、これを防ぐのは一人一人の努力だけ。
それではこの冬の食中毒から家族を守る方法を考えていきましょう。


まず大切なのは、徹底した手洗いです。
わが家の手洗い手順は次の十段階。


1.手を十分に流水で濡らす。
2.せっけんをよく泡立てる。
3.手の平洗い。手の平をこすりあわせる。
4.指の間洗い。手の平を合わせたまま両方の指の間をよくこすりあわせる。
5.手の甲洗い。手の甲と指の間をよくこする(両手)。
6.指先洗い。指先を立てて反対側の手の平にこすりつける(両手)。
7.親指洗い。親指を反対の手で包むようにしてよくこする(両手)。
8.手首洗い。手首の方までよくこする(両手)。
9.流水で完全に泡を流す。
10.清潔なタオルで拭いてできあがり。


こすり合わせるところは、それぞれ最低15回ずつこすります。
特に、指先洗い、親指洗い、手首洗いは普通あまりしないと思いますので、しっかりと行っていきましょう。
6の指先洗いには、爪の間を洗うためのブラシも併用します。


石鹸にウイルスをやっつける効果はありませんが、洗い流すことはできますから、その意味での効果は大きいんです。
手の脂と一緒に洗い流すことを考えると、温水を使えばさらに効果的なことがわかりますね。
なお、新型インフルの流行でアルコールを主成分とした手指消毒剤が普及しましたが、ノロウイルスに対してアルコールはほとんど効きません。
消毒剤といっても万能ではないんだなぁと知っておいてくださいね。


キッチンを預かる人は特に手洗いを念入りに。
タオルについては、キッチンではちょっともったいないですが、使い捨てのペーパータオルが適していると思います。
清潔を保つべき所では惜しみなく使い捨て品を。そのぶん別の所で資源の節約。
これが賢いキッチンライフですよね。


キッチンでは、調理器具のお手入れも大切です。
包丁、ふきん、菜箸などなど、調理器具は使い終わったら必ずきれいに洗い、さらに85℃以上のお湯で1分間以上の加熱消毒を行います。
ノロウイルスは空気中に漂うインフルエンザウイルスなどと違って、主にウイルスの付着した物に接触することで伝播していくらしいですから、洗った後の管理が清潔なら次に使う時も安心だと思いますが、不安がある時は使う前にもまた熱湯消毒してくださいね。


まな板は大きいので煮沸消毒は難しいですが、ノロウイルスに対しては次亜塩素酸ナトリウムが効きますから、これを主成分としたキッチン用塩素系漂白剤が効果的です。
そんな化学薬品は嫌だという人も多いと思いますが、次亜塩素酸ナトリウム医療機関でも消毒薬として使われているものですから、正しい使用法で必要最低限度で使うことは、家族の健康維持に役立つと思います。
気になる残留塩素は、使用前に熱湯で流すことで対処できます。
なお、ノロウイルスに対して必要な塩素濃度は200ppm以上とされていますので、代表的な製品の適切な使用量は次のページなどを参考にしてくださいね。
http://www.kao.com/jp/soudan/topics/topics_083.html


調理についての注意は、とにかく中までしっかり加熱することに尽きるようです。
ノロウイルスは熱に弱いので、調理器具の消毒の所で書いたように、85℃以上1分間以上の加熱で安全だといわれています。
でも、食品の中心部までしっかり火が通っていないと意味がありませんから、素材の質や大きさ厚さなどをよく考えてお料理したいですね。


最後に気を付けたいことは、ちょっとでもノロウイルスっぽい症状があったら、きっぱりキッチン仕事から離れること。
これがとても大切だと思うんです。
わが家では母と私の二人がキッチンに立ちますので、いつも二人で健康チェック。
少しでも異状があったらお料理禁止を申し渡す決まりにしています。
幸いまだ二人とも禁止を言い渡されたことはありませんが、家族の健康を預かるキッチンのこういうルール、大切だなぁと思っています。


ノロウイルスは少ないウイルス量でも感染を広げます。
ですから、厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」には、つぎのように書かれています。

食品への二次汚染を防止するため、食品取扱者は日頃から自分自身の健康状態を把握し、下痢やおう吐、風邪のような症状がある場合には、調理施設等の責任者(営業者、食品衛生責任者等)にその旨をきちんと伝えましょう。
そして調理施設等の責任者は、下痢やおう吐等の症状がある方を、食品を直接取り扱う作業に従事させないようにすべきです。
また、このウイルスは下痢等の症状がなくなっても、通常では1週間程度長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがあるので、症状が改善した後も、しばらくの間は直接食品を取り扱う作業をさせないようにすべきです。

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
このことはイエでも同じ。
一家の主婦(主夫)といえども、体調がおかしかったらキッチン仕事はお休み。
家族のためにも自分のためにも休養を取って、ゆっくりしてくださいね。
こういう時のためにも、家族みんなが簡単な料理くらいこなせるようになっておくことが大切だと思います。


そのほか、色々大切なことが厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」に書かれていますので、上でご紹介したページをよく読んで、ぜひ参考にしてください。


ノロウイルスそのものは、そんなに恐いウイルスではないかもしれません。
でも、ノロウイルスによる健康被害を防ぐ努力は、インフルエンザなど他の病気を防ぐためにも役立ちますから、キッチンから家族の健康を守っていくという気持ちで、これからも続けていきたいと思っています。


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