「七輪陶芸」by id:Fuel


ご存じの方も多いと思いますが、なんと七輪で陶器が焼けるんですね。家庭用の電気陶芸窯もありますが、調べてみると最高温度はだいたい 1200〜1300度くらいのようです。このくらいの温度なら七輪で十分出せるんです。


七輪に炭を熾し、焼きたい物をその上に置いて、上からもう一つの七輪をひっくり返しに被せて窯にして焼き上げるというのが七輪陶芸の基本スタイル。うまいことを考えた人がいるものですね。


七輪ですから大きな物は焼けませんし、一度に焼ける数も限られます。また、七輪は珪藻土焼成して作られていて、そう頑丈な物ではありませんから、長時間にわたって高温を出し続けるような使い方をすると、すぐボロボロになってしまいます。


しかし逆の視点で考えればむしろ、
■形が小さいので庭先でも簡単に焼ける。
■炭というカーボンニュートラルな燃料を使って焼くので地球温暖化を加速しない。
・電気、石油、ガスなどを燃料とした陶芸窯は使用にあたって必ずCO2を排出する。
・電気陶芸窯は最悪の地球汚染を招く恐れのある原子力への依存性が高い。
■七輪は破棄時の環境負荷が低い。
・七輪は使い倒して朽ち果てれば、ただの土くれと少量の鉄さびです。
といったことが、趣味として家庭で行う場合には、大きな利点となるとも考えられます。


特に注目したいのは、炭という燃料についてです。小型電気陶芸窯の一般的な消費電力は最大1500Wくらいが多いようです。つまり100Wの電球 15個分ですね。
東京電力の08年のCO2排出係数は0.418kg-CO2/kWhなので、これで焼き上がるまでに10時間かかるとしてそのCO2排出量を計算してみると、1時間あたりの消費電力1.5kWhに排出係数0.418をかけて、さらにそれを10倍すると答えは6.27kg。電気で焼けばこれだけの CO2を出してしまいます。
しかし炭は空気中のCO2を植物が固定した産物で、燃やしてもそれが空気中に帰っていくだけですから、CO2排出量はプラスマイナスゼロ。この差は大きいです。


また日本の場合、電力会社によって依存度は異なりますが、全国平均で見ると総電力の約30%が核依存ですから、10時間焼けば3時間は、地方の犠牲の上に成り立っている原子力発電所の電気で焼くことになります。
これを国産の炭で焼くとすると、焼いている全ての時間が、地方の林業を応援する時間につながります。この差も大きいと思います。


もっとも七輪陶芸には、焼いている間中つきっきり、防火対策にも気を配らなければならないなど、スイッチを入れたら後はタイマーと温度計さえ見ていれば事足りる電気窯にはない苦労もありますが、七輪なら炭の積み方や送風の仕方などで焼き方に個性が出せる、火の回り具合や灰の付き方などで思わぬ窯変も楽しめるといった、電気窯などでは得にくい炎の芸術の良さが味わえると思います。



詳しいことはこの本を見ればわかります。写真付きでていねいに解説してくれているので、これ一冊あれば、すぐに七輪陶芸が始められると思います。さらに「七輪陶芸」で検索すれば多数の実例が見つかりますので、それらも参考にすればすぐに焼けるようになるでしょう。


さらにこの七輪被せ窯を使った、とても楽しい応用例を発見しました。
http://earlybirds.ddo.jp/nendorian/


七輪でパンが焼けます!
http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/topics/francepan/francepan.html
七輪陶芸の直後の七輪を使えばよく熱が回って、ふっくら焼き上がりそうですね。


七輪でピザも焼けます。
http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/topics/pizza/pizza1.html
ピザは七輪陶芸が終わった後の残り火で十分行けそうです。これならクッキーやビスケットも焼けそうですね。七輪陶芸の楽しみはまだまだ広がっていきそうです。


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