「今年の春はヒマワリとアサガオをまいてみます」by id:Oregano


去年の夏のことでした。少し離れた線路際の通りに、かわいいミニヒマワリが咲いたんです。前年まで、そこには何も生えていませんでした。誰かが植えたのかなと思いながら通り、夕方また同じ道を通ると、小学校1〜2年生くらいの女の子が、じょうろでヒマワリに水を上げていました。


それを眺めながら通り過ぎようとしましたが、誰が植えたのかな、この子かなと思いちょっと足を止めると、その女の子が私に気付いて振り返ってニコッと微笑んでくれました。そこで思い切って、「これあなたが植えたの?」と聞いてみました。すると、「ううん、自然に生えてきたんだよ」との答えでした。


そういえば前にイエはてなで、ベランダに一粒ヒマワリの種が落ちていたという話を読んだのを思い出しました。人が種をまいたのか、鳥などの生き物が未消化の種の落とし物をしていったのか。そうして芽を吹くヒマワリもあるんですね。


女の子はさらに続けて、
「でもお父さんがこれはヒマワリだよって教えてくれたから、花が咲く前からずっとお水をあげてたの」
と教えてくれました。観察日記も付けているし、夏休みの宿題の絵もこのヒマワリにしたんだよと教えてくれました。


「お兄ちゃんもヒマワリ好きなの?」
「うん、大好きだよ」
「じゃあ種がとれたらあげるね、袋に入れて、ここの陰にこうやって、隠しておいてあげる」
「わぁ、うれしいなぁ。きっと取りに来るよ」
「うん」


こんな会話をしてバイバイしました。


後日、期待はしていなかったのですが、女の子が言っていた場所を見てみると、本当にかわいい模様の紙袋がそっと隠してありました。中には本当にヒマワリの種が入っていて、「げんきにそだててね、わたしのこともわすれないでね」と小さな紙のお手紙まで入っていました。
手紙の裏には「おまけもあるよ」と書かれていました。おまけは、アサガオの種でした。


なんかもう、かわいくて、おかしくて、そしてハートが熱くなってきて、笑ったらいいのか泣いたらいいのかわからなくなってしまいました。この子の真心をしっかり育てるのが、今年の私の役目です。もうすぐヒマワリのまき時、そしてアサガオのまき時がやってきます。今年あの子に会ったら、元気に育ってるよとしっかり報告できるように頑張りたいと思います。


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