「伝統野菜のたねを蒔こう♪」by id:vivisan


つい先日のイエはてなの中で「身土不二」という言葉がでてきました。食事で健康を養うための独自の理論の中で、その土地、その季節の食物がよいという考え方です。
 http://q.hatena.ne.jp/1270011099/258407/


ツリーにもかかれてありましたが、日本各地にはその風土に根付いた独自の食文化がありますよね。以前岩手の「餅御膳」を調べたときにも思いましたが、その食文化の根底にあるのは、その地方地方で受け継がれている伝統野菜や数々の食材ではないか。そして、それらの食材が、気候や土地の文化によって独自の料理方が形作られて郷土料理に至ったのでは?と思います。


さて名古屋市では、「なごや環境大学」を開催しています。ここでは「持続可能な地球社会」を支える「人づくり・人の輪づくり」などを共に育つことを目指していて、企業やさまざまな団体による講座が設けられて参加できるようになっています。
実は先日、会社のガーデニング友達から種をいただきました。その友達は「なごや環境大学」に参加していて、愛知の伝統野菜の種をもらったのだそうです。せっかくだから、育ててみませんか?ということで私の手に渡ったのは、「あいちの伝統野菜」のリストと「十六ささげ」と「越津ねぎ」の種でした。このリストによると、昨年私がはじめて作った「かりもり」という瓜は、あいちの伝統野菜に認定されていました。
そこで気になったのが、日本の伝統野菜ってどのくらいあるんだろう?私が住む岐阜の伝統野菜ってなんだろう?でした。早速調べてみました。これが日本の伝統野菜たちです。当たり前ですがどの県にも野菜たちは存在しています。
 http://www.dentouyasai.net/itiran.htm


みなさんがご存知の野菜ってありましたか?岐阜と愛知の野菜は、重複しているものがあるんです。「守口だいこん」や「十六ささげ」がそうです。隣の県ですから土地の性質が似通っているのもあるんでしょうね。でも、十六ささげって私食べたことなかったんです。たしかにスーパーにはちゃんと置いてあるんですが・・。せっかくの伝統野菜なのにあんまり聞いたことないっていうものが以外と多かったんです。
その地方だけで作られ、流通していないという理由もありますが、ほかにも理由はあって、例えば、岐阜では「まくわうり」が伝統野菜として認定されています。歴史は古く、縄文時代の遺跡からも見つかっているらしいのです。旧真桑村本巣市)で作られていたから、それが名前の由来となったという説があります。メロンみたいに甘いのが特徴なんですが、昭和になって、メロンとかけあわせたところ、網がないものが誕生しました。これが「プリンスメロン」です。こちらのほうが甘いので、まくわうりを作る人がどんどん減っていきました。そして今は本当に作る人が少なくなってしまったんです。味や風味が濃い伝統野菜よりもトマトやキャベツ、大根など現在は温室栽培などで一年中食べれる野菜にシフトしていき、また海外の野菜を食べることができるようになったことも伝統野菜が作られなくなった理由としてあげられるのではないかと思います。
昔は野菜はその時期しか食べられませんでしたので、郷土でとれる野菜は栄養を補給するのに貴重なものでした。これがどんどん壊れてしまって、今は旬がわかりにくくなってしまっているのが現状なんですよね。


そこで、種について少し調べてみました。種には「固定種」と「F1種」というものがあるらしいということがわかりました。下記に特徴をあげてみます。

固定種とF1種の種の特徴
・ 固定種の種
o 何世代にもわたり、絶えず選抜・淘汰され、遺伝的に安定したい品種。ある地域の気候・風土に適応した伝統野菜、地方野菜(在来種)を固定化したもの。
o 生育時期や形、大きさがそろわないこともある。
o 地域の食材として根付き、個性的で豊かな風味を持つ。
o 自家採種できる。


・ F1種の種
o 異なる性質の種を掛け合わせてつくった雑種の一代目。
o F2になると、多くの株にF1と異なる性質が現れる。
o 生育が旺盛で特定の病気に耐病性をつけやすく、大きさや風味も均一。大量生産、大量輸送、周年供給などを可能にしている。
o 自家採取では、同じ性質を持った種が採れない(種の生産や価格を種苗メーカーにゆだねることになる。


参考)『野菜の種はこうして採ろう』(船越建明著、創森社


ふだん私たちがスーパーで目にする野菜は、農家が栽培しやすいように品種改良を重ねた「F1種」から栽培しています。ホームセンターなどで販売されている苗なんかもそうなんですよね。
ただ、現在収穫されている野菜は昔の野菜に比べて、ミネラルの含有量がかなり減少しています。例をあげると、ほうれん草100gに含まれる鉄分は1950年には約13mgだったのが、1991年には約3.7mg、現在では約2.0mgとされています。 野菜を育てる土壌のミネラルが不足したのも原因ですが、品種改良によってミネラルが減っていったのも事実なんです。
よくよく考えてみれば、日本の在来種ってかなり少ないんですよね。外国との交易によってもたらされた種が少しずつ日本の風土にあうようになってできあがった野菜が、現在の和の食材になっていたりするんですよね。
それを知って、地元の気候や風土に合うように自然に逆らわず少しずつ改良されて固定化された伝統野菜のすばらしさを実感したと同時に、かなりの危惧を覚えました。
もらった伝統野菜の種はとても小さいものですが、この出会いは私にとってひとつの転機になったような気がします。


さて、私がもらった種ですが、ねぎは蒔く時期が終わってしまったので、5月に「十六ささげ」を蒔いてみたいと思います。つる性なので、これは緑のカーテンにもぴったりです。現在緑のカーテンツタンカーメンのえんどうですが、それがちょうど終わる頃に発芽した苗ができそうです。
十六ささげはマメ化の野菜で、インゲンマメのように細長いですが、やわらかく、さやの中に16個のマメができることからこの名前がついたようです。熱や乾燥にも強いんだそうです。しかも、「十六ささげ」で調べていたら、この野菜すごい力をもっていることに気づきました。血中コレステロールを下げる効果が大きいことを岐阜大学とぎふクリーン農業研究センターがつきとめたんだそうです。ダイエットに効果ありかもしれません♪
 http://opi-rina.chunichi.co.jp/topics/20090423-2.html


早速母にも半分わけてあげました。イエと実家で栽培することにより、子孫を増やしていきたいと思います。その土地にあった野菜を作れば、野菜も喜んでくれるような・・そんな気がします。その野菜で郷土料理が作れたら本望です。そして自分の住んでいるこの土地がもっと好きになると思います。


伝統野菜には歴史があります。この野菜たちを知るためにも、自分たちの土地のルーツを知るためにも、伝統野菜の種をまいてみませんか?実際伝統野菜に光をあてて行動をおこしているところもたくさんあります。ただ、その地域の農家でしか作らないので、種を求めることができません。しかし、まくわうりのように、十分に知られていて種の販売をしているものもありますし、野菜を購入して育ててみるというのもひとつの方法かもしれません。伝統野菜にはまだ認定されていませんが、飛騨の野菜「スクナカボチャ」は、私は実際に購入したカボチャ種を蒔いて収穫しました。
また、その地方の栽培している方々に直接聞いてみるというのもひとつの方法だと思います。
参考までに固定種の種を販売しているところ
・野口種苗研究所
 http://noguchiseed.com/


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