「〈紐〉の語源を考える」by id:CandyPot


昔、愛し合う男女が遠く離れてしまうような時、お互いの腰紐を結び合って再会を誓ったそうです。おそらく今で言う和服よりさらに昔の衣服の時代。古墳時代とか、そのくらいのころの話だろうと思います。
また日本には昔から、紐を結ぶとそこに神秘的な力が現れるとする考え方がありました。特に伊勢の斎宮に伝えられてきたという「折形象(おりかたどり・紙の折り方)」と「結形象(むすびかたどり・紐の結び方)」には、様々な形やその作り方の順序などに奥深い意味があることが、それは詳しく伝えられているそうです。
紐は、こうした神秘的な力を持つと信じられていたことから「秘緒(ひめお)」と呼ばれ、それが訛って「ひも」になったのだとする説があります。語源には様々な説があるのが通例ですから、他にも別の説があるのかもしれませんが、私は「秘緒」説がすてきだなぁと思います。
ところで神前結婚式には。「結い紐の儀」なんていうのがあるらしいですね。全ての神前結婚式にそういう式次第があるわけではないと思いますし、それが伝統的な儀式なのかどうかもわかりませんが、巫女さんが心を込めて編み上げた赤い水引の輪を、それぞれの左手の小指に結び合わせるのだそうです。こういうの、憧れませんか?
それにしても、紐には色々神秘な意味が隠されていると知ると、梱包のビニール紐なども粗末にはできなくなってしまいますね。昔の人は小包もていねいに開梱して、紐や包み紙はいつか再び使えるように大切に保存しておいたと言います。日頃からそういう心がけをしていると、紐の御利益で、何かいいことがあるかもしれません。


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