「《国際子どもの本の日》と《ペット週間》に合わせて、子供と一緒に命を考える本を」by id:TomCat


つづきのねこ

つづきのねこ


まずは、吉田稔美さんの「つづきのねこ」。実話に基づく、不思議な命の巡り会いのストーリーです。


実は著者の吉田稔美さんは、イエはてなのナビゲーター、ハザマさんのお友達。どんなお話かは、私が書くより、生のハザマさんの書き込みをお読み頂くのがいいですよね。こちらです。ぜひクリックしてお読みください。
http://q.hatena.ne.jp/1172033632/75246/#i75421


この本は、元は私家版として発行されたものでした。絵本でありながら、添えられている絵は、たった1種類のシルエット画。それは、読者が自分の愛するペットを思いながら本書を読む時、読者それぞれの愛するペットの姿が本の中にあるようにとの配慮からです。講談社版も、イラストの点数は増えていますが、やはりシルエット画で、静かで落ち着いた、愛らしい本になっています。


この本は絵本と言っても、子供向けに書かれた物ではないと考えた方がいいでしょう。「子供を含めた家族」に向けて書かれた本。そう考えてください。家族で読み、それぞれの胸にそれぞれの思いを抱いていく。そんな本だと思います。お子さんと読む人は、お子さんが大人になるまで、この本、大切に持ち続けてください。きっと宝物になる本です。


実験犬シロのねがい―捨てないで!傷つけないで!殺さないで! (ドキュメンタル童話シリーズ犬編)

実験犬シロのねがい―捨てないで!傷つけないで!殺さないで! (ドキュメンタル童話シリーズ犬編)


続いて、こちらはちょっと重いテーマかもしれませんが、敢えて取り上げてみます。これも実話に基づくストーリーです。


飼い主に捨てられ、保健所から実験動物として払い下げられたシロ。辛い実験手術を経て死にかけていたシロは、やっと救い出され、ようやく幸せを掴みます。しかしそのシロに、思いもかけない出来事が・・・・。


本書は一見、救いようのない、悲しい犬の一生を綴っているように見えます。捨て犬の運命、動物実験という現実などが、グサリと胸に突き刺さります。


しかし、この本の巻末には、全国自治体の実験動物払い下げデータが掲載されているのです。何頭の犬猫が自治体から実験動物として払い下げられていったか。その実数が、増刷の度に更新されて掲載されてきたのです。その数字は、本書が版を重ねるごとに、確実に減少していきました。


そして、2006年度、本書の新刷に反映されているかは未確認ですが、ついに現実世界において、その数字はゼロとなりました。2004年度は犬199頭・猫 130頭が実験用として払い下げられていたのが、2005年11月末時点で犬4頭・猫9頭に減少、そして2006年度、ついに日本の自治体から、収容した動物を実験動物として払い下げる制度が全廃されたのです。


科学実験は必要です。そのために動物が使われることが無くなったわけではありません。しかし人間の道徳心は、人間の責任で不幸な運命を強いられた動物に、さらに残酷な運命を負わせることだけはやめにしようと、やっと決意するに至ったわけです。

 
本書は、本書のストーリーの後に続く現実社会の出来事で、希望ある結末を迎えました。そんなノンフィクションなんですね。そういうことを語り合いながら、親子で読んでください。葉祥明さんの絵も素晴らしいですよ。小学校中学年以上向きです。



今度は楽しい、ワクワクする本です。生き物と関わっていく仕事を通して、命の尊さ、素晴らしさ、命あるものに対する責任、そして働くことの意義などを学んでいきます。


全5巻で、

* 1巻「動物園・水族館」
* 2巻「犬・ねこ・うさぎ」
* 3巻「盲導犬・競走馬・サーカス」
* 4巻「畜産・水産」
* 5巻「保護・研究」


という構成。可愛がったり守ったりする現場だけでなく、殺して食べる為の動物を飼育する現場もリアルに取り上げています。しかし、そこにも命を愛し尊んでいこうとする人の姿があるんです。そういうことから、大人も学ぶ所大です。小学校中高学年向け。


ペットはぼくの家族 (ポプラ社いきいきノンフィクション)

ペットはぼくの家族 (ポプラ社いきいきノンフィクション)


最後は、外国人がペットを通して見た日本について書いた本をご紹介しておきましょう。


著者のマルコさんはオーストリア生まれ。日本が大好きで、ハタチの時から日本で暮らしています。日本文化も大好きで、なんとマルコさんのお得意はお神楽を舞うこと。


そんな日本人より日本人らしく、日本のことが大好きなマルコさんですが、ひとつだけ日本社会のありかたに苦言があるのです。それは、人とペットの関わり方。オーストラリアでは人とペットは家族同然なのに、日本の動物は「物」扱い。どうしてですか? 本書は、人とペットの幸せな暮らしのために、マルコさんが綴ったメッセージです。小学校高学年向け。


ほかにも、色んな本があると思います。「国際子どもの本の日」と「ペット週間」に合わせて、ぜひ親子でそれにふさわしい本を探しに出かけてみませんか。親子で同じ本を読んで語らう時間を持ってみる。このことも、親子それぞれに、かけがえのない時間となることでしょう。


もちろんお子さんのいない大人もぜひ!! 子供のために書かれた「人間以外の命との関わりについて書かれた本」を紐解いてみることは、もしかして、先入観で硬直した思考を解きほぐしてくれることにつながるかもしれません。大人って、けっこう思い込みで視野が狭くなってたりしますからね。子供向けの本が今まで見えなかった物を見せてくれることって、結構あるんじゃないかと思います。これを機会に、ぜひどうぞ。


»このいわしのツリーはコチラから