★(一ツ星)

「お皿の上に庭を作る〈ディッシュガーデン〉」by id:Fuel


最近ディッシュガーデンなるものが流行っているようです。お皿の上に小さな植物を植えて箱庭のように仕立てるインドアグリーンの楽しみ方です。
しかしお皿に普通の植物を植えるには、いくつかの無理があります。
まず土の深さが浅いこと。根は放射状に開いて植え付ける必要がありますから、根の形によっては植えられない植物もあります。
またお皿には水抜きの穴がありませんから、植木鉢のような底から余分な水を流す水やりができません。そこでお皿の底に多孔質の素材を敷きつめ、そこに常に水分を保有させておくといった方法がとられるようです。しかし根が直接水分保有層に触れると、呼吸が妨げられて根腐れを起こします。
また用土には水はけの良い物を使わなければなりませんから、土に養分はほとんど無いと考えられます。そこで人工的な液肥などを使う必要がでてきます。
こんなふうに、ディッシュガーデンというアイデアにはとても興味をそそられますが、あまりに自然の環境からかけ離れすぎた植物の育て方はしたくありません。
そこで私は、苔を使ってディッシュガーデンを作ってみることにしました。使った苔はアラハシラガゴケ。山苔として盆景などにもよく使われる種類ですから、これならお皿の上でも大丈夫です。苔といってもアラハシラガゴケはよく見ると一本一本がいかにも植物らしい形をしています。なかなかかわいい植物です。
使うお皿は何でも構いません。土は園芸用の黒土に赤玉土の細粒を混ぜた物を使いました。水はけを良くするためです。苔は、私は生えている所を知っているのでそこから採取してきましたが、園芸店で買ってもいいでしょう。そして植え付けます。
植え付け方には何通りかあるみたいですが、自然から採取してきた物は「蒔きゴケ」法が適していると思います。苔を手で揉むとばらばらになるくらいに乾燥させ、ばらばらになった苔をあまり重ならないように均等に用土の上に蒔いていきます。そのあと薄く目土をして軽く押さえておけば、しばらくすると根付きます。
マット状になっている苔のコロニーをそのまま移植する場合は、苔の塊が分厚いと蒸れやすくなるため、そのままごっそりと大きな塊で植えることは避け、小さく割って植えていきます。用土の上に置いて押しつけるようにして定着させます。
植え込みが終わったらじょうろでやさしく水を注ぎ、余分な水はお皿を傾けて流します。植え付けてしばらくは乾燥させないように注意しましょう。特に室内は乾燥しやすいですから、水やりとは別に時々霧吹きで霧を吹いたりしてやります。
ただし水を与えすぎると弱ってしまいますから、余分な水はお皿に溜めないことが大切です。完全に定着したようなら、徐々に水やりを減らし乾燥気味に育てていきます。その方が苔にとってはいい環境になるのです。水やりは一日おきくらいで大丈夫。霧は毎日吹いてあげましょう。
お皿の上のレイアウトはお好みです。丘のように用土を盛ってみたり、一部に苔のない真っ白な砂を配して変化を付けてみたり、真ん中に石を置いてみたりして、色々楽しめると思います。水切りでお皿を傾けた時に無理がないレイアウトを考えてください。模型の家などを置いてみてもかわいいです。
以上、植物に無理のないやり方で楽しめる苔のディッシュガーデンの一例をご紹介してみました。


»このいわしのツリーはコチラから


ミシュランコメント

ディッシュガーデンというしつらいもはじめて知ったのですが、そこからさらに考えを深めて、「苔」で小さな庭を作るという素晴らしい創意。すぐに作ることが出来るレポートも大評判でしたね! 石や模型のイエなどを配して楽しむのもすごく楽しそう。先日、TVで日本には「水石」(すいせき・自然の石を風景や動物の形に見立てて鑑賞するもの)の伝統があることを知りましたが、小さな水石を見つけて飾るのも素敵ですね!