「魔法に挑戦、デキャンタージュごっこby id:momokuri3


デカンテーション」というと科学実験等の時に沈殿物を混ぜずにうまくビーカーから溶液を注ぎ移すことをさしますが、ワインのデキャンタージュにもそれと同じ、一種の魔法使いに近いアルケミストの雰囲気があります。ワインのデキャンタージュは、十分に熟成されたワインに対しては単にオリを取り除くというまさに科学実験のデカンテーションそのものですが、まだ若いワインに対しては、固く閉じた味や香りを、空気に触れさせ酸化を促すことで花開かせる化学変化そのものです。
さて、私たちが普通買えるワインというと、安物です。いかにもグルメ本に出てくるような高級銘柄でも、実際に飲むとガチガチに渋くて、何がうまいんだこんなもん、という程度の物しか買えません。それをデキャンタージュによって至高の逸品に変化させられるかどうか。これが面白いんです。実際、驚くほどに味も香りも変わってくる場合があります。しかし物によると何の変化も感じられないばかりか、むしろしないほうがよかったという場合もあります。栓を抜いて一口味わってどちらがいいか見分けられたら、そして鮮やかな手つきでそのワインに適したデキャンタージュが行えたら、きっと魔法使いに近付きます。
なんてことを遊びながら飲む。テイスティングごっこをし、デキャンタージュの真似事をし、また飲み、こうして魔法使い属性を持つアルケミストになった気分でいつのまにか一本開けている。そんな飲み方は楽しいものです。お気に入りのデキャンタを持つと、ワインが楽しくなります。


»このいわしのツリーはコチラから