イエ・ルポ #022 PickUp3



こんにちは、ハザマです。先日ニュース番組の中で、面白い地方の習慣が紹介されていました。「まわり地蔵」さんといって、家を無事に守るお地蔵様が数日ずつ各家を回っていくんだとか。滞在中は同じ食事を供えて家族としていてもらって、数日すると箱ごと背負って、次のおうちに手作りのお菓子などお土産と一緒に持って行くんです。もう250年も続いているんですって!こんな地域の交流と日本の習慣が今でもあるんですね、素晴らしい!
さて、今日は“イエ・ルポ”#022のピックアップ賞のご紹介です。「思い出に残るイエの香り」、あったあったとうなずくものから珍しいエピソードまで、ツリーでのやりとりも盛んで面白かったですね。みなさま、楽しいご投稿をどうもありがとうございました!

#022 ピックアップ賞

#022では「あなたの思い出に残るイエの香り」のテーマでご投稿頂きました。
あったなぁ!という話題で盛り上がったツリーは、「蚊取り線香の匂い」「あかちゃんの、ミルクの匂い」「犬のニオイ」「玄関先のキンモクセイ」「おじいちゃんの家の香り」「おかあさんのにおい(石けんや洗濯物)」「畳の匂い」などがありましたね。あと、「墨の香り」「しょうのうのにおい」「味噌汁の香り」「線香の香り」「檜風呂の香り」「あさげ(朝食)の匂いと音に日本を感じる」など、日本ならではのものも多かったのが印象的でした。私が体験したことのないものには、「囲炉裏の香り」や「位牌の漆の香り」があって、これも独特の日本の香りなんだろうなぁと思いめぐらしたり。
ピックアップ賞は本当に迷いましたが、イエの幸せがほのかに伝わる「パンの焼ける香りと猫のにおい」と、おばあちゃんの思い出も楽しい「豆炭コタツの香りと、真性コタツみかん。」、そして母の日の話題にも発展したお母様の思い出「薬(漢方薬)の匂い」を選ばせて頂きました。
「床屋さんから帰ってすぐの父の頭の匂い」や「カメムシのにおい」やカブトムシの匂いも、子供の頃の記憶とともに懐かしかったなぁ…。「押し花の匂い」とか「ハンダ付けの松ヤニの匂い」とか、それぞれの思い出の香りも色々あるものだなぁ…。香りとともに色んな暮らしの情景が思い浮かんできた今回のいわしでした。


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「パンの焼ける香りと猫のにおい」by id:MINT

今はすっかりパン焼きにこっている私ですが、子供のころは、パン焼きは母の独擅場でした。私は、ぶわーっとふくらむ生地をふしぎだなぁとのぞき込んだり、たまーに生地をこねこねして形を作らせてもらうだけ。オーブンに火が入るとキッチン全体が温かくなってきて、そしてパンが焼けてくると、おいしそうな香りがあたり一面に広がります。私は椅子に座って、じーっとオーブンを見つめながら、あったかくておいしい空気を楽しんでいました。
もうひとつ大好きだったのは、猫の匂いです。猫はあまり匂いがありませんが、お日様をいっぱいに浴びた猫は、かすかに干した藁のような匂いがします。猫がお腹を横にして寝ていると、私はお腹の柔らかい毛にボフッと顔をうずめて、いっぱいに猫の香りを吸い込みました(本当は動物とは、こんな濃密すぎる接触はしない方がいいんだろうと思います。よい子はまねしないでくださいね)。
パンの焼ける匂いと猫の匂い。これが私の子供のころの幸せの香りでした。今。パン焼きの香りは自分で作れるようになりました。猫の匂いだけが足りません。

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「豆炭コタツの香りと、真性コタツみかん。by id:hanatomi

昔は、コタツをめくっても真っ黒で、アチチの鉄の籠がついていて、その中に豆炭が入っていました。
そういうコタツがあるのはおばあちゃんのコタツだけで、他のコタツもあるのにそのコタツがお気に入りでした。
足を入れすぎると、あつーーい鉄の籠に触ったり、
窒息するからもぐっちゃだめよと母に言われ、めくると豆炭の香りが。
あと何よりの思いでは、うちのおばあちゃんは【コタツでみかんを温める】んですよねww
なので足を伸ばしたら、「みかんに気をつけてね」とよく言われました。(^_^)
こんな人、他にもいるのかなww
とっても懐かしい思い出です。

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「薬(漢方薬)の匂い」by id:Fuel

一時期、母が体調を崩していたことがありました。
顔色が悪く、毎日がとても辛そうでした。
病名ははっきりとせず、原因がよくわからないので病院の薬など効くわけがありません。そのうち母は漢方薬を試すようになっていました。
錠剤になっているようなものではなく、煎じて飲むタイプです。
煎じはじめると、かなりきつい匂いがしました。
いかにも薬臭いというか、何とも言えない変な匂いです。
それを母は毎日のように飲んでいました。
いかにもまずそうでした。
毎日のことですから、部屋の中にもその臭いが染みついているようでした。
そんなことが一年近く続いたと思います。
薬が効いたのか、ほかに何かがあったのかはわかりませんが、
だんだん顔色が良くなってきて、辛そうにしている時も少なくなっていきました。
ある日、いつもの嫌な臭いが全くしなくなっていたのに気が付いて、
体の具合はどうなのと聞いてみると、にっこり笑って、もう全然大丈夫。
あの時は本当にうれしかったです。
今日はそんなことを思い出しながら、母に花束と寄せ植えを贈りました。
寄せ植えはあれこれ迷った結果、結局前回のいわしの全く真似っこの、
ミニバラとワイルドストロベリーを中心にした取り合わせになりました。
これからはこの花の香りが、母親を象徴する香りになってくれそうです。

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