イエ・ハック ピックアップ賞

「大きな一部屋を緩やかに区切って作る3人暮らしのイエ」
by id:TomCat


舞台はマンション、タイミングは結婚したカップルに子どもが誕生して3人暮らしが始まる時、とくれば、私なら、可能な限りの大きなワンルームをベースに、それを緩やかに区切って暮らすスタイルを提案したいと思います。


現実には何十畳もの巨大なワンルームはありませんから、玄関を入ったらまず大きなリビングダイニングキッチン。その向こうのベランダ側に夫婦と子供それぞれの個室となるべき部屋が2〜3部屋並んでいる、といった感じの間取りの物件を見つけて、それを好みに改造する方向性でいきましょう。


多くの場合、ベランダ側にLDKが配置されますが、このプランでは逆に、子供部屋となるべき部屋をベランダ側に持っていきます。それは、育ち盛りの子供にこそ、お日様たっぷりの明るい部屋を与えたいから。できれば東側にも窓が取れる部屋だといいですね。こうして朝日をたっぷり浴びながら目覚められる部屋にすれば、子供のいわゆる「体内時計」の健全な成長を促すことが出来ます。


また、子供部屋がベランダに面していれば、子供は部屋の延長の身近な場所で様々な植物を育てたりして、自然と親しむ情操や、科学する心などを育てることが出来ますね。


さらにベランダという家族共用のスペースと隣接する場所を子供部屋とするならば、そこが閉鎖的な空間になってしまうこともありません。


子供部屋のお隣は書斎兼夫婦の寝室。これもベランダに面しています。子供が小さなうちは、ここが家族全員の寝室になります。お隣の子供部屋はまだ使いません。もったいないですね。というわけで、書斎兼夫婦の寝室と子供部屋の間は壁ではなく、フォールディングドア(折れ戸)で仕切ることにしましょう。つまり、昔の日本家屋の特徴と同じ「ぶち抜き」で使える設定にするわけですね。子供が小さなうちは「ぶち抜き」で使いますから、その広さを活かして、室内遊具などを置く部屋として活用することも出来そうです。


さらに個室とLDKの間も開口部を広く取った構造として、子供が小さなうちは全開を原則とするようにすると、イエ全体が巨大なワンルームのような見通しの良さになり、子供から目を離さずに掃除や料理などの家事をこなすことが可能になります。ここが「大きな一部屋を緩やかに区切って作る3人暮らしのイエ」の提案のキモですね。


さて、話はリビングダイニングキッチンに移ります。ダイニング部分は出来ればコンパクトにまとめたいですね。そうすればその分リビング部分が広く取れますし、配膳や後片づけもしやすくなります。


そこで、まだ子供が赤ちゃんのうちは、夫婦はカウンターで並んで食事。子供も一緒に食卓を囲めるようになったら、カウンターに高さを揃えたテーブルをT字型に接触させて配置する、というアイデアはどうでしょう。こうするとカウンターもテーブルの一部として使えますから、通常より小さなダイニングテーブルで済ますことが出来ますよ。


リビング部分は、ソファなど必要な家具を出来るだけ壁際に配置し、床面を大きく空けて、子供の安全を確保しましょう。マットを敷けばそこが子供のプレイスペースになるようなレイアウトが理想です。


お絵かきなどの机には、使わない時は折り畳んでしまっておける卓袱台を活用しましょう。卓袱台にも色々ありますが、昔ながらの華奢な感じの卓袱台はけっこう軽量ですから、子供がリビングで勉強をはじめるような年齢になれば、自分で出して使うことも可能です。とにかくリビングの中央は子供の為のスペースと考えて、常設の家具を置かないレイアウトを心がけていきましょう。


これで、たとえば、お父さんはソファでくつろぎのひととき、お母さんはキッチンで趣味のお菓子作り、子供は部屋の中央で楽しく遊ぶ、なんていう三者三様の楽しみ方を一つの空間で展開できるようになりますね。


このリビングはベランダには面していませんが、ベランダに面した個室を閉め切らないライフスタイルが定着していれば、常に開放的で明るいリビングになっているはずです。


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