イエ・ハック ピックアップ賞

「ヌックカウンターで過ごしたい、良質の音楽に浸るひととき」
by id:momokuri3


昔、父がバンドをやっていたころ、基地の街福生に、すてきなロックスポットがあったそうです。そこは全く普通の喫茶店。しかし店内にはいつも、本当にいい音楽が流れていたそうです。


父は遠い目をしながら思い出を語ります。「俺はあの店で始めてマジック・サムのギターを聴いた。彼がこの世を去ったのは69年の12月。もうその時にはこの世の人ではなかった。かかっていたのは、彼が遺したたった2枚のアルバムのうちの1枚だった。世代を越えて、彼のブルースが心にしみ入ってきた。衝撃的だった」と。


「カウンターに座りながら、そんな本当にいい音楽に浸る。飲み物はいつも決まって、たった一杯のアメリカン。マスターに声をかける。追加のオーダーかって?とんでもない。次、俺の好きなあのアルバムかけてよって、リクエストさ」。


今、その店のことをネットで検索してみると、かつて存在していたロック喫茶として紹介されていることが多いようです。しかし父が言うには、そこは本当に普通の喫茶店。ライブ用のステージがあるわけでもない。大音響が鳴り響くお店でもない。ただひたすら、良い音楽が流れつつけるお店だったのです。


そんな音楽に浸れるダイニング。しかもテーブルではなくカウンター。このスタイルに、とても憧れます。オーディオシステムはどうしましょうか。


まずスピーカー。専用の部屋が設計できるなら、使いたいスピーカーの質に合わせた設置場所が選べますが、そうでなければ、きっと部屋の広さの関係で、天井吊り下げ型を選ぶことになるでしょう。


すると、必然的に適するアンプが決まってきます。現代的な設計のスピーカーには、同じく現代的な設計のアンプが一番です。


こういうラインナップのシステムに似合う音源は、やはり現代的なデジタルソース。古いアルバムがCDで復刻される場合、改めて現代的なシステムで再生することを前提としたリミックスが行われたりします。


父は言います。「情緒ねぇな〜」(笑)。アナログLPに、ガラス管の中のヒーターが光る真空管アンプ。そんなシステムが欲しいようです。私も、本当にいい音楽に浸る空間なら、そうしたオーディオシステムが欲しくなります。


しかし、音源をデジタルと割り切れば、コンピュータが「質の高い選曲をしてくれるマスター」役を務めてくれるではありませんか。アルバムにタグを付けて管理し、何らかのつながりをたどりながら自動演奏させていくようにセットすれば、自分で選曲して流すのとまた違った音楽への浸り方が出来そうです。


もちろん家族で楽しむ時は、一人がキッチン側に入ってマスター役を務めてもいいですね。友人がやってきた時も、とびきりのコーヒーとブルースでおもてなししましょう。


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