「心だけならすぐに行ける、地図という名のどこでもドア」by id:C2H5OH


一番欲しい扉は?と聞かれたら、私は今でも「どこでもドア」と答えます。そんな私にとって、地図と百科事典が心の世界の旅の扉を開いてくれる「どこでもドア」でした。特に世界地図が好きでした。


知らない地名が出てくると、まず事典でそれを調べました。最初に調べたのはブレーメンブレーメンの音楽隊の話を思い出して、いったいどこの話だろうと興味を持ったのでした。事典で調べてみたらドイツでした。ブレーメン州というのがあって、その首都がブレーメン。事典には写真も載っていました。石畳の広場やクラシカルな建物が本当に童話の世界みたいでした。国が分かったので、続いて開くのは世界地図です。どこかなどこかな。ありました。上の方、北海に近いあたりです。地図と事典の写真を交互に眺めながら、ロバや犬や猫やニワトリと一緒に旅をしている気分に浸りました。


そんなことがきっかけとなって、ほかにも色々な場所のことを調べてみました。テレビなどで知らない地名を聞くと、食事中でも早く調べてみたくてうずうず。食べている間に聞いた地名を忘れないようにと必死だったのを思い出します。


そのうち、ニュースなどにも出てこないような島に興味を持ちはじめました。世界中には知らない島がたくさんあります。特に南洋の方には、小さな島がすごく離れて点在しています。こんな所に人が住んでいるのだろうかと思って調べてみると、ちゃんと人が住んでいたりします。すごいなぁ、最初にここに住み着いた人はどうやってここまでたどり着いたんだろうなどと思いを巡らせているうちに、地図による島巡りが趣味になっていったのです。


特にポリネシアが好きで、その島々のことを色々調べました。ハワイ、ニージーランド、イースター島というすさまじく離れた三個所を結ぶ範囲内がだいたいポリネシアです。そんな広い海域に共通の文化を持つ人々が散らばっていることが驚きでした。特に興味を持って深く調べたのはトケラウでした。最も高い所で海抜2m くらい。全ての陸地がサンゴ礁の上という不思議な三つの島からなる地域です。詳しいことがなかなか分からないので、図書館にまで行って調べたりしました。そして、どんな島だろう、いつか行ってみたいなぁと夢を膨らませました。


図書館で調べたことをノートに書き写したのがきっかけで、イエでも調べたことをノートにまとめるようになりました。ノートにまとめるというと勉強みたいでつまらなそうですが、趣味ですからこれが面白いのです。調べたことが貯まっていくごとに、旅をした場所が増えていく気持ちになりました。


白地図が手に入ったので、調べたことのある場所に印を付けてみたりもしました。あれ、アメリカが少ないです。よし、今日はアメリカ横断だ!こんなふうに休みを一日潰して、地図上の「どこでもドア」を開き続けたこともありました。


今は百科事典のないイエが多いと思います。代わりに、調べ物はネットですね。でもネットを子供が自由に使えるイエも少ないと思いますから、もし子供が地図の楽しさに目覚めたら、ぜひ大人が調べ物をサポートして、一緒に心の世界での旅を楽しんでください。地図を開く。心の世界での旅の扉を開く。これは本当に楽しいです。



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