「ロウから手作りのキャンドルで地球の恵みのあかりを体験」by id:TomCat


ロウは手作りできるって知ってました? 木の実から、本当にあかりが灯せるロウが取り出せるんです。


日本の伝統的な蝋燭につかう蝋の原料はハゼノキの実。昔は近い種類の植物であるウルシの実も多く使われました。どちらも蒸して絞ると、蝋がとれるんです。椿の実などから油を絞るのとやり方が似ていますね。


実をたくさん集めることが出来れば、この作業は家庭でも行えます。でも困った事が一つ。ハゼノキもウルシも、かぶれるんです。このかぶれはウルシオールと呼ばれる揮発性物質によるアレルギー反応で、体質によっては木の近くに行っただけでかぶれてしまうことがあります。ですから、これはちょっとお勧めできませんね。


そこで、ヤマモモの登場です。なんとヤマモモの実からも、立派な蝋がとれるんです。ヤマモモは主に関東以南の中山間地などに自生しています。またヤマモモは、海を守るための植林にも多く用いられてきました。海岸近くの山にこれをたくさん植えて、土砂の流出を防いだんですね。ヤマモモは発芽率が良く、痩せ地でも良く育ち、実も食用として楽しめますから、こういう目的にも最適だったんです。結実の時期はちょうど今頃です。


もしこの実がたくさん手に入ったら・・・・。もちろん食べたいですよね。ヤマモモの実はとても美味しいです。でも、もし食べきれないほど実が採れたら!! その時は蝋をとってみましょう。ヤマモモの実をグツグツと鍋で煮ると、油のような物が浮いてきます。それを冷ますと、ほーら、固まりました。これがヤマモモの蝋なんです。


実の量が少ないと、それこそ雀の涙くらいの蝋しかとれないかもしれませんが、ここではとりあえずある程度の量が確保できた物として、これでフローティングキャンドルを作ってみることにしましょう。


まず、蝋を水から引き上げて、よく乾かしておきます。その間に、
* 蝋を溶かすための小さな金属カップ
* 芯になる糸
* チョコなどの流し型
* 割り箸
を用意しておきましょう。


蝋を溶かすための小さな金属カップには、アルミ製の空き缶などが使えます。キャットフードの小さな缶などが大きさ的にピッタリです。缶の上のリング部分をハサミで切り取ってしまい、縁の一個所をラジオペンチなどで抓んでクイッと引き出して注ぎ口を付けてやると使いやすくなります。缶の切り口で手を切らないよう、注意して作業して下さい。軍手をはめて作業すれば安全性が高まりますね。小さなお子さんの場合は、大人の人がやってあげてください。


芯にする糸は、できればキャンドル芯専用として作られた物を用意するのがお勧めです。キャンドルの芯として作られた糸は、よく見ると、ランプの芯と同じような編み上げ構造になっています。これが溶けた蝋を安定して吸い上げて燃焼させてくれるヒミツなんですね。撚っただけの糸とは、ちょっと作り方が違うんです。どうしても手に入らなければ、凧糸などで代用出来ない事もありませんが、不安定な燃焼による炎の揺らぎや黒煙の発生などは起こりやすくなります。素材は必ず木綿としてください。絹や毛糸などの動物性繊維や合成繊維などは使えません。


チョコ型は、一口大のチョコを作る時に使う物。食べ物からとった蝋ですから、お菓子作りの道具が安心して流用できますね。さらにヤマモモからとる蝋は融点が40数℃と低いので、プラスチック製の型でも大丈夫なんです。


割り箸は蝋が固まるまで芯を挟んでおくために使うだけですから、他の物を流用しても構いません。


さて、作りましょう。まず蝋を小さな金属カップに入れて湯煎します。この時、お湯を蝋の中に入れてしまわないように注意。蝋が溶けたら、適当な長さに切った芯を浸します。よーく蝋を染み込ませてください。芯を引き上げて、ピンと真っ直ぐにして冷やします。端を1cm弱、直角に折って、L字型にしておいてください。


あとは、こうして作った芯をチョコ型の中心に立てて蝋を注きます。この時、割り箸を型の上に渡して、芯を挟んでおくんですよね。あ、もちろん芯は、L字型に折った側が下ですよ。冷えてしっかり固まったら、型から抜いて、これでフローティングキャンドルの完成です。


このキャンドルは水盆に浮かべて火を灯します。倒して火事になったりする危険性が少ないタイプのキャンドルです。原料は100%自然の恵み。しかも蝋から手作りの完全なハンドメイド。こんなキャンドルで夏の一夜を過ごしたら素晴らしいと思いませんか!!


実際には、たわわに実るヤマモモの大木を見つけられる人は少数でしょう。実が手に入っても、ほとんどは食べてしまうと思います。残った実も、普通はジャムか果実酒ですよね。でもいつか、それでも使い切れないくらいのヤマモモが手に入ったら、その時は甘酸っぱい美味しい実を楽しみながら、手作りキャンドルで過ごす素晴らしい夜!!


とりあえず今は、ヤマモモから蝋がとれるんだということだけ、知っておいてください。いつか実現する時がくるかもしれません。ヤマモモのキャンドルは、石油が原料のパラフィンで作られた物と違って、燃焼時の匂いも爽やかです。お子さんと一緒に、いつか作ろうねと、夢を膨らませてみてください。



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