「父母の結婚記念日の〈いがまんじゅう〉」by id:tough


「いがまんじゅう」と呼ばれる和菓子はいくつかあるようですが、わが家の場合は埼玉北東部の田園地域に昔から伝わるものだそうです。こしあんの饅頭のまわりにお赤飯がまぶされたようなお饅頭で、祭りや様々な祝い事には欠かせないものだったのだそうです。農林水産省選定の全国郷土料理百選にも選ばれていて、今も地元の味として親しまれているそうです。


父母は新婚当初、しばらく埼玉に住んでいたことがあるそうです。当時はまだお金もなく、また付近にお洒落なお店が並ぶような町でもなかったそうですから、結婚記念日だからといっても、特に何もせずにいたそうです。


それを知ったご近所の方がお祝いにと作ってくださったのが「いがまんじゅう」。これがとても嬉しかったのでしょうね。それ以来、結婚記念日というと、「いがまんじゅう」を食べるのが二人の恒例になったそうです。


埼玉を離れても、二人揃って現地の和菓子屋さんに。これがまだ若かったころの二人の結婚記念日恒例デートだったのですね。私が生まれてからは、母の手作りに変わったそうです。私も子供のころ、母が楽しそうに生地をこねたり餡を丸めているのを見ていた記憶があります。


長い間にはこういう習慣も途絶えがちになりますが、私が大学でしばらくイエを離れて、卒業して帰ってみると、しっかり復活していました。息子が家を出て二人きりになったことで、新婚当初の新鮮さが戻って来たのかもしれません。


今も結婚記念日の「いがまんじゅう」は続いています。子供のころは日本の伝統の味が分かりませんから、あまりおいしいとは思いませんでしたが、今食べるとおいしいですね。もしかすると母の腕前が上がっているのかもしれません。父母の結婚記念日には必ずこれが出てきますので、私もできるだけ家族の時間が取れるように帰宅します。そして私もご相伴します。


こうした形でいつまでも新婚当初の思い出を持ち続けていけるって、いいことですね。私も遠くない時期に独立することになるでしょうから、いつまでこの二人の恒例に同席できるかわかりませんが、こうしたあり方は受け継いでいきたいというか、手本にして真似していきたいなぁと思います。


なお、現地のお菓子屋さんが教える「いがまんじゅう」の作り方のページを見つけました。よかったら皆さんも、何かのイエのお祝いに、作ってみてください。
http://www.city.hanyu.lg.jp/kurashi/madoguchi/kikaku/02_culture/...


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