「地元野菜を食べよう」by id:sumike


 春の彼岸には古くから牡丹餅を食べる風習があるのは知っていましたが、
友達の地元(山形県)では、「うちでは『くるみ味噌かぶ』を作るのが伝統なのよね〜。」と聞いてびっくり。


 その「くるみ味噌かぶ」は地元で取れた在来作物の「蕪」で作られる彼岸の行事食なのだとか。


 在来作物とは、ある地域で世代を超えて栽培されているもので、
作っている人が自分で種を採り、増やしており、決まった料理や使い方をされてきたものです。
 昔は誰もがよく目や口にしていた生活に密着した野菜でしたが、次第に誰にでも作り易く扱いやすく、万人に好まれる味が求められ、
生産効率が悪かったり、味にクセや特徴のある野菜は滅びたり、またその危機に瀕するようになってしまいました。


 山形県の在来作物は150種類以上あるといわれていますが、ここ30年で27種類も消えてしまったそうです。


 しかし近年、食の安全・健康志向・味の珍しさや懐かしさを求める声が高まって、地産地消スローフードといった言葉とともに、
地域に根ざした昔ながらの食材と、それによって作られる食文化も見直されてきました。


 そんな山形の郷土料理の一つ「くるみ味噌かぶ」は、仏様の大好物と言われていて、毎年春秋の彼岸に作って仏前に供えるそう。


 作り方はそれぞれのイエごとに、作り方が少しづつ違うそうですがお願いして作り方を教えていただきました。


◎くるみ味噌かぶ(4〜5人分の目安)の材料はかぶ360g、くるみ20g、みりん大さじ1、味噌大さじ2。
◎必要な道具はあたり鉢、すりこぎ、まな板と包丁です。


・まず蕪を綺麗に洗い、いちょう切りにして、沸騰したお湯にさっとくぐらせた後、すぐ冷やし辛味を引き出します。


・次にくるみ味噌を作ります。
 あたり鉢にくるみを入れてよく潰した後、大さじ2杯の味噌を入れてさらによく混ぜ、それからみりんを大さじ1杯入れて
よく混ぜると、くるみ味噌の出来上がり。


・出来上がったくるみ味噌に、茹でて冷やしておいた蕪を入れ、よく混ぜ合わせたら、軽く重しを置いて、汁があがってきたらいただきます。
 作りたてよりも、3日目位が味に深みが出て美味しいそうです。
 私がよっぽど食べたそうな顔をしていたせいかw連休に地元へ帰郷されるそうなので、その時お土産に少しいただけることに。


 以前もイエはてなで愛知の伝統植物(十六ささげ)の話題が出ていましたが、よく実家でも食べていた十六ささげが愛知の伝統植物だとその時まで知りませんでした。何事もまず知ることが大切ですね。


 私もこの機会にもう一度地元の伝統野菜・在来作物を見直してみたいと思い調べてみました。
 すると愛知の伝統野菜には他にも色々ありますが、この頃採れるものに「養父(やぶ)早生」という品種の新タマネギと愛知早生フキ(尾張ふき)がありました。
 寒い時期に育った、2月〜3月ごろに収穫されるフキは柔らかくて美しい淡緑色をしており、特有の爽やかな香りと、ほろ苦さは早春ならではのもの。
 いまはハウス栽培やリレー栽培、輸入などのおかげで、四季を問わずいつでもさまざまな種類の野菜が店頭に並んでいますが、かつてはこの時期に新鮮な野菜が多くありませんでした。
 その野菜の少ない時期に採れたありがたい野菜がフキで、大切に増やし育ててきたそうです。
 フキは強い香りや独特のえぐみがありますが、調理次第でおいしくいただけます。


 また、愛知の在来作物である「愛知早生白タマネギ」は、スーパーでよく見るクリーム色のタマネギと違って中まで真っ白で、辛味が弱く生でも食べられるのが特徴だとか。
 食感は瑞々しく最初に甘みがその後、少しだけ辛味が口に広がる〜とのことですから、是非サラダにして食べてみたいです。


 地元で採れる季節の野菜は、美味しく安心して食べられるだけでなく、地域の歴史や風土、文化を伝えてくれているんですね。


 今年の春の彼岸には料理を通じて昔の人の知恵や自然への感謝をしつつ、地元で採れたフキと新タマネギのサラダを作り、友達と一緒に愛知の春の味覚と、山形のくるみ味噌かぶの食べ比べをしてみたいと思っています^^


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