「祖父母の家で折り紙大会」by id:watena


親戚の子がたくさん集まっていたので、おそらくお正月のことだったんだろうと思います。当時私はまだ小学校に上がる前でしたので詳しい記憶は残っていないのですが、とにかく集まった子供達で折り紙大会が始まりました。
折り紙といっても、素材としての折り紙、言い換えれば色紙ですね、それを使った物なら何でもOK。鶴を折る女の子がいたり、大人に教えられながら手裏剣を折っている男の子がいたり。中には折り目をハサミで切り抜いて、開くとレース模様になるなんていう工作をしている子もいました。私はと言うと、なぜか折り紙を切り抜いてクジラの形を作っていました。
集まっていた子供の数は、たしか7〜8人。その人数でどんどん色紙細工を量産していきますから、あっという間にテーブルの上は折り紙だらけになっていきました。畳の上にも、投げて遊んだ手裏剣などが散らばっています。
するとおばあちゃんが、それを真っ白な襖に貼り付けはじめたではありませんか。私のクジラも貼ってもらいました。クジラの周りには、手裏剣が三つ四つ、星のように貼り付けられています。私は水色の折り紙を噴水のように切り抜いて渡しました。それも貼ってもらって、潮吹きクジラさんの出来上がりです。
私達は大喜びで、さらに折り紙細工を続けました。やっこさんや兜などの折り方を教えてもらったり、折って切って開いて雪の結晶のような模様を見よう見まねで作ったり。まだ小さかった私も、色々な新しいことを覚えました。
おばあちゃんはバランスを考えながら、これはここがいいわねぇなどと、次々と襖に貼っていってくれます。気が付くと8畳ほどある部屋の両側の襖に、色とりどりの折り紙が散りばめられていました。
最初は全ての襖が、真っ白の無地の襖紙でした。それがびっくりするほど賑やかな襖に変わっています。襖を開けた時に重なりの後ろになる襖には厚みのない切り紙細工が、前側になる襖には立体感のある折り紙が主に貼られていたと思いますが、それぞれ白い空間を上手く生かして、連続した襖全体が一つの宇宙というか、色紙の天の川になっているような感じでした。
テーブルの上を片付けて、完成した襖を眺めながら美味しいお菓子。ジュースも出てきて、まるで誰かのお誕生会のようです。おばあちゃんは、素敵なお部屋になりましたよ、ありがとうと微笑んでくれました。
祖母は本当に子供が大好きな人でした。そんな祖母が企画した、伸び伸びと遊ぶ子供達の作品で襖を飾っていくという素敵な部屋作り。そこに加わることが出来たのは、なんと幸せだったことでしょうか。これは本当に楽しいイエ遊びでした。


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