「家が宝島、宝探しごっこの思い出」by id:Cocoa


たとえば、テーブルの上に一枚の紙が乗っています。そこには「くまちゃんのおしりのした」などと書かれています。くまちゃんのぬいぐるみの所に行ってお尻の下を見ると、また紙が置いてありました。今度は「かびんのした」と書かれています。花瓶、いくつかあるけどどれだろう。あ、裏に絵が書いてありました。花瓶の横に電話機が書かれています。あそこだ!行ってみると、また紙がありました。そこには「れいぞうこのなか、プリンがあるよ」と書かれていました。わーい、おやつです。


父や母はこんな宝探しを仕掛けるのが大好きで、なんとお年玉が宝探しになってしまったこともありました。お年玉袋の中に最初の謎が書かれた紙が入っています。その謎を解いて次のステージへ。順調に進んで、きっと次はお年玉に到着だ〜と思ったら、なんと出てきた紙には「おしごとのさいちゅうは かならずねているもの なーんだ」と書かれていました。お父さん、これ宝探しじゃなくナゾナゾ!


えぇー、全然分かりません。寝ている物、寝ている物…。何だろう、枕かな?…違いました。枕を見ても何もありません。お仕事の最中っていうんだから何かの道具よねぇ。ボールペンかな?いいえ、これは使い終わった後に寝る道具。そうだ、もう一度紙をよく見てみよう、何かヒントがあるかも。ありました!紙の裏に「ヒント・だいどころ」と小さく書いてありました!


だいどころー。お鍋かな?包丁かな?あ!まな板!あれは使ってる時必ず寝てる!!立てかけられているまな板の裏に、「きのうはおせちのお手伝いごくろうさま。この紙をもってお母さんのところにいってごらん」と書かれた紙が見つかりました。「おかあさーん!」。最後の紙を差し出すと、母はうふふと笑って「はい」とお年玉を手渡してくれました。そして「これは昨日たくさん手伝ってくれたからご褒美」と、もう一つ追加のお年玉袋をもらってしまいました。中を開けてみると、なんとお手伝いのご褒美の方がたくさん入っています。働くって尊いんだ!なんてその時の私が思ったかどうかは不明ですが、このことは大人になった今でもたまに思い出して、「仕事、辛いなぁ」なんて思う時の励ましになってくれています。


こうして家の中で宝探しを続けていると、いつのまにか家中が宝のありかになっていきました。お家が素敵な宝島。今は誰も隠し場所のメモは残してくれませんが、掛け替えられたカーテンや、無造作に置かれた新聞、ありとあらゆる物に、家族の思いや存在という、かけがえのない宝が隠されています。


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