「〈子供救急箱〉を作ろう」by id:TinkerBell


「子供救急箱」、これは元病院勤務の看護師だった母からのアイデアです。
この救急箱は実際の手当て用ではなく、手当ての練習用。


つまりは看護師さんごっこ用ですが、中身を本格的な手当て用品にして、遊びの中で応急手当の基本も学んでもらっちゃおうというアイデアなんです。


まず、救急箱っぽい箱を用意しましょう。
木箱でもいいですし、百均で買えるようなプラスチックのケースでもいいですね。
上に取っ手が付いていると、それっぽく見えます。
緑の接着シートで十字マークを作って貼ってあげたりすると、さらに本物っぽくなりますね。
なお、有りそうで実際には無いのが、赤十字マークの書かれた救急箱。
これは「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」というのによって、赤十字やそれと紛らわしいマークは勝手に使ってはいけないことになっているからなんです。
ですから、マークを付けるなら安全や衛生を意味する緑の十字。
これはJISで安全標識として定められていますが、勝手に使ってはいけないという決まりはありません。


箱の中に入れるのは、包帯、三角巾、そしてガーゼの3種類です。
包帯と三角巾はサイズが色々ありますから、子供の体に巻きやすいサイズと、大人の体に巻きやすいサイズの2種類を用意してあげてくださいね。
これで子供どうしでも、お父さんやお母さんなどを相手にしても看護師さんごっこ
遊びながら、手当ての技術が学べます。


まず包帯(巻き包帯・巻軸帯)ですが、これは伸縮包帯ではない、普通のガーゼ製がいいですね。
巻きやすさから言ったら伸縮包帯の方が実用的かも知れませんが、巻き方の練習には、普通のガーゼ製の方が適しています。
子供どうしの練習用なら、幅の狭い8号(8裂)がいいかな。
大人を相手にする場合も、指や手の平に巻くならこのサイズでいいですが、腕などに巻く場合は6号(6裂)くらいの少し幅の広い物がいいと思います。
なお、包帯の号(裂)とは、原反を何分の一にした幅、というような意味ですから、数字が大きくなると幅が狭くなります。


三角巾も入れましょう。
医療用三角巾には色々なサイズがあります。
ある医療衛生材料メーカーのカタログによると、
・特大 117cmx117cmx172cm
・大 105cmx105cmx150cm
・中 90cmx90cmx130cm
・小 72cmx72cmx100cm
となっていました。
お子さんの体の大きさによって、適切なサイズを選んであげてくださいね。
大人を相手に練習する場合は、上記の「大」に相当するサイズがいいと思います。
三角巾は複数枚を組み合わせて使うことも多いですが、子供サイズと大人サイズそれぞれ1枚ずつあれば、だいたいのことはできると思います。
なお、医療用とキッチン仕事などの時に頭に被る物は違いますので、必ず医療用三角巾を用意してあげてくださいね。


包帯や三角巾と必ずセットになるのが傷口に当てるガーゼ。
傷がある場合は、必ず傷具を保護するガーゼを当ててから包帯を巻くのが基本です。
小さく切ったガーゼを1枚ずつ滅菌パックした物が売られていますから、本当の手当てにはそうした衛生的な物を使いますが、これは「ごっこ用」ですから、適当な大きさのガーゼをきれいに畳んで入れてあげればいいですね。


入れる物は基本、これだけでOK。
ごっこ用にしても傷薬の空ボトルくらいは入れてあげたいなぁと思うかもしれませんが、薬品は使い方を誤るとかえって治りを遅くしてしまうこともありますから、ファーストエイドでは使わないのが基本なんです。
傷口が汚れていたら、まず清潔な流水で洗い流す。
包帯を巻くのは傷を治すためではなく、傷を保護し、適度な圧迫で痛みを和らげ、患部の安静を保つため。
お薬は、その次の段階で必要があれば使っていくんだよ…と教えてあげてくださいね。


あとは、まず大人の人が包帯の巻き方を覚えてください。
巻軸帯の巻き方には、
・環行帯
・螺旋帯
・折転帯
・亀甲帯
・麦穂帯
などの巻き方があり、体のどこの部分に巻くか、どのくらいの範囲を巻くかなどによって使い分けていきます。
巻軸帯の巻き方は、こちらのページの「包帯法」の解説が分かりやすいと思います。
http://sweb.nctd.go.jp/senmon/shiryo/kango/


三角巾も、畳んで使ったり、開いて使ったり、腕を吊ったり副木を固定したりと使い方色々。
「包帯法 三角巾」などで検索するとネット上の説明も色々ありますが、こちらは上手にきっちりと巻けるようになるにはちょっとコツが必要なので、消防署などでやっている応急手当講習会の、傷の手当てまで教えてくれるコースで習ってくるのがいいと思います。


あとは、親子で包帯を巻き合って遊んでください。
これはちょっとしたスキンシップにもなると思います。
ただし、最後にちょっとご注意も。
包帯、特に巻軸帯は、万が一首などに巻き付けてしまうと危険ですので、兄弟姉妹で遊ぶ場合も必ず大人の見ている前で。これを絶対のお約束にしてください。
だから、遊び終わったら、子供救急箱も大人が預かります。
でも、上手に演出すれば、だからこそただの遊びよりもすごくてかっこいいプロフェッショナルな遊びなんだと思ってもらえると思います。
こんな経験が、スポーツやアウトドア、そしていつか子供が父や母になった時にも、きっと役立っていくと思います。


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