「百葉箱を作ってみよう」by id:C2H5OH


百葉箱。温度計や湿度計が入った、学校などでよく見かける白い箱です。。四方が鎧戸(ルーバー)で囲まれた屋根付きの物は「スティーブンソン型」と呼ばれ、これが登場したのは1873年、イギリスでのことだったと言われています。以来、基本的にはずっとこの形。観測設備としては原始的な部類ですが、できるだけ正確な計測ができるように、色々工夫がなされています。


これをイエに作って家族で観測していったら楽しいと思いませんか。継続して気温や湿度を観測し続けることは素晴らしい勉強になりますし、何より自分の暮らすマチの気象に詳しくなります。空の様子などと合わせて観察していけば、四季の変化も手に取るように分かるようになっていきます。そのうち簡単な天気の予想だって出来るようになるでしょう。地域のことがより一層好きになっていきます。


作るに当たってはまずサイズから検討しなければなりませんが、こちらのサイトに寸法付きの市販品の一覧が載っていますので、これを参考にしてください。気に入ったフォルムの物を、適宜縮小して作ってもいいと思います。
http://www.at-imai.co.jp/products/w_hyaku.html


材料については、百葉箱の主要構造部分は木で作ると決まっています。これは熱を箱の内部に伝えにくくするためですね。枠組み部分は適当な角材を使いましょう。ルーバー部分はベニヤ板でいいですが、屋外で使う物ですから、耐水ベニヤ合板としましょう。これを短冊状に切って使います。屋根部分や床部分は適当な板で。屋根はルーバーと同じ耐水ベニヤ合板でもいいですが、床については、足の付け方により、ある程度頑丈な板が必要になってくるでしょう。


組み立ては、釘より木ネジの方が頑丈に作れると思います。接着剤を併用する場合、屋外で使う物ですから、耐水性、耐候性のある物を使ってください。硬化後の耐水性や耐候性が保証されていない水性接着剤は使わない方が無難です。


白の塗料も必要ですね。これは太陽光による箱内部の温度上昇を防ぐためですので、必ず塗装しなければなりません。屋外木部用艶ありのペイントを使ってください。


金具類は、屋外で使いますから、錆びないステンレス製が適しています。ステンレスは熱伝導が悪いので、金具による観測結果への影響も低く抑えられそうです。


百葉箱の設置方法には色々考えられますが、私が子供時代に作った百葉箱は、下に木製の脚を4本付けて、それを地面に打ち込んだ杭に縛り付けるという原始的な物でした。どのような取り付け方でもいいのですが、より正確な観測結果を得るためには次のような注意が必要ですので、それに適した場所をさがし、その場所に適した固定方法を考えて材料を用意してください。


【百葉箱設置の原則】
・設置場所は、できるだけ風通しの良い、開けた場所とします。
・扉は北向きにします。これは扉を開けた時に直射日光が差し込むと、正しい計測結果が見られなくなるからです。
・下には何らかのグランドカバーとなる植物を植えます。これは地面からの熱の跳ね返りを防ぐためです。四季を通じて緑を保つ草を使ってください。芝生がよく使われます。
・設置する高さは、世界気象機関の規則では地上1.25〜2.0mの範囲とされています。普通のガラス製温度計を使う場合は温度計と目の高さを一致させて読み取る必要がありますから、小さな子供が観測する場合は、安全な踏み台なども用意してください。


実際の製作については、ルーバー部分が一番難しいと思います。私の場合は、最初に木枠を組み立てた後、短冊状に切ったベニヤを45度の角度で差し入れて、枠との接合部分をセメダインコンクリメント(商品名)で固めてしまうという方法を採りました。この接着剤はペースト状で盛り上げて塗りつけることが出来るので、ボテッと盛り上げて塗ってやることで、十分な強度が得られました。本来はコンクリート面への接着用ですが、木材同士もがっちり接着してくれました。


中に入れる計測器類には、
・温度計
・最高最低温度計
・最低温度計
・湿度計
が最低限欲しいですね。


温度計は、ガラス製の場合、本格的な観測用には水銀を感温液とした物が使われます。ですから検定合格品の水銀温度計があれば最高ですが、家庭用の普通の赤い温度計でもいいでしょう。ただし、あまり安い物は精度に疑問があるので使わない方が無難です。後述する湿度計に乾湿式を使うなら、乾球がそのまま温度計になります。


最高温度計は、温度が下がっても最高点の示度を保持する温度計です。水銀式体温計と同じような構造の物や、水銀が可動式の小片を押し上げていく構造をした物などがあります。最低温度計はその逆です。


湿度計は、乾湿式湿度計が精度が高くお勧めですが、湿度の読み取りには計算や算出表が必要ですし、湿球の管理も面倒なので、メーターの針で湿度が直読出来る家庭用の湿度計でもいいでしょう。ただし、毛髪やその他の繊維の伸縮で湿度を測る伸縮式湿度計は、精度の良い物でも5%程度の誤差は当たり前なので、そう思って使うようにしてください。


こうした百葉箱を親子で作って設置したら、イエがちょっとした「地域気象観測所」になりますね。最近は、学校でも百葉箱のない所が増えてきました。有る所でも、ほとんど活用されていないケースが多々あるようで、壊れかけた百葉箱がそのままになっているのも見かけます。気象観測の方法や機器が変わったこともあるでしょうが、学校施設の場合は、子供の科学離れも影響している気がしてなりません。百葉箱というアイテムで、イエに科学する楽しさを。お父さんお母さんも日々のブログにその日の最高最低気温や湿度などを書き続けていったら、きっと楽しいと思います。


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