「何故か幸せを呼ぶ黄色」by id:Cocoa


はじまりは、小さな頃に着ていた服の色だったのかもしれません。私は黄色のワンピースが大好きでした。それを着ている日は、なぜかごはんに大好物が出てきたり、父がおみやげを買ってきてくれたりと、いいことずくめだったのです。


小学生になってからも、黄色い何かを身につけている日は、授業で先生に当てられてもすらすら答えられたり、ろくに勉強していなくてもテストでいい点が取れたり、席替えで大好きなお友だちと隣同士になったりと、ラッキーの連続でした。


夏休みにおばあちゃんの家に行った時、私のラッキーカラーって黄色なのよと話したら、おばあちゃんはこんな話をしてくれました。お前のおじいちゃんも黄色が大好きだったのよ、と。
おじいちゃんの仕事は農業でした。毎年たくさんのアブラナを育てていました。
「普段は気むずかしいおじいちゃんだったけどね、菜の花畑が満開になると、それは嬉しそうに微笑むんだよ、大好きだったんだね、黄色い菜の花が。」
その夜は、トウモロコシも出てきました。
「そういや、おじいちゃんもトウモロコシが大好きだったよ。これも黄色だね。」
そうかぁ、おじいちゃんが大好きだった黄色。そう思うと、トウモロコシがひときわ美味しく感じられました。


ある時、父と母がすごい喧嘩をしてしまったことがありました。翌日は日曜日。楽しい休日のはずなのに、午後になっても二人とも口をききません。どうしよう。私は二人の仲直りを願ってテーブルに黄色い花を飾り、ソファに黄色のクッションを二つ並べて、そっと陰から見守っていました。
父がソファに座りました。母がやってきて、「今夜何食べる?」。ぶっきらぼうな声です。まだ怒っています。父もぶっきらぼうに「カレー」。しばらく無言の時間が続きました。そしてその静寂を破るように、母のプッと噴き出す声。「やだぁ、カレーなんて子供みたい」。父はちょっとムッとした顔をしたようでしたが、すぐに「俺、子供なんだよ、自分の気持ちがうまく言葉に出来ない、昨日はごめんよ」なんて謝りはじめました。そして二人で仲良く夕食のお買い物に出かけていきました。黄色作戦大成功!あ!カレーも黄色っぽい食べ物ですね!!


こうして、わが家のラッキーカラーの黄色は、不動のものになりました。就職して最初のお給料で父母にプレゼントを買った時も、黄色のリボンを掛けました。


私の部屋にも黄色が一杯です。黄色のカーテンごしに差し込む光で目覚める朝はとても爽やか。パジャマも黄色がお気に入りです。スリッパも黄色だし、PCの壁紙も黄色い花が咲き乱れる野原の風景なんですよ。


先日は防災の日に合わせて、家族お揃いの黄色のバンダナを買いました。いつもハンカチ代わりに持ち歩いて、いざ何かが起こったら、どこにいても避難する時はそれを腕に巻いて行動しようと申し合わせています。そうすれば万が一のことがあっても「黄色のバンダナを腕に巻いている人知りませんか」と探すことが出来ると思ったからです。


そういえば、わが家の朝ご飯には必ず卵焼きが付きます。卵を切らしてしまった時に、母が明日どうしようと本当に困った顔をしていたので、無理に卵焼きしなくてもいいよと言ったら、母いわく「あれは欠かせないのよ、一日の始まりに黄色のメニューは」って。母も黄色がわが家のラッキーカラーって思ってくれていたのでした。そこで父が一言、「たくあんでいいよ」(笑)。おじいちゃんが好きだった黄色、そして娘の大好きな黄色を、家族みんながラッキーカラーだと思ってくれていることが、私の幸せです。


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