「秋の虫の声を録音してみよう」by id:momokuri3


昼間は人工的な音ばかりの住宅地でも、夜になればそれなりに音は静かになります。私はここ数年、そんな時間帯を狙って、虫の声を録音してみています。使用するレコーダーは、ちょっと前までならカセットかMDというのが相場でしたが、今はいいメモリレコーダーがありますから、それを用います。私が使っているのは楽器用エフェクタなどで著名なZOOM社のH4というレコーダー。手の平サイズの本体に質の良いマイクがセットされた、ハンディな録音機器です。


クリアーな虫の声を録音するには、さらに外付けの指向性の鋭いマイクがほしいところですが、私の録音の目的は「音による自然観察」と「住んでいるこのマチの音の記録」ですから、少しくらいの余計な音は入ってしまってもいいと割り切っています。それでもマイクのゲインを絞り、かわりに虫たちを驚かせない程度に近付けて録ることで、それなりにクリアーな録音が可能です。


イヤフォンでモニターしながら、レコーダーを最適な位置に。コオロギは地面かその近くにいますから、できるだけ低い位置にレコーダーをセットします。ジーーーという鳴き声はケラ。これもターゲットは地面です。
チッチッチッチッと小刻みに鳴くのはカネタタキ。この虫は地面ではなく、低い植え込みの枝に登って鳴いています。
最近市街地に多いアオマツムシは、もっと高い街路樹などの上で鳴く虫です。
キリギリスの仲間は、たいてい草の葉っぱに止まって鳴いています。


こんなふうに、虫の種類によって鳴いている高さが違いますから、レコーダーにクリップを付けて適当な所に挟んで取り付けられるようにしたり、 ZOOM H4の場合は三脚取付用アダプタがあるので、デジカメ用の小型の三脚を併用するなどして適切な高さにレコーダーを設置。人間はちょっと離れた所で待機するようにすると、虫は安心して鳴いてくれるようです。


たくさん録音したら、PCに転送して編集です。虫の種類ごとに分けて、録音日時、場所などの記録も添えながら整理していきます。さらに騒音などが混じらずきれいに録れた部分だけを取り出してフェードイン・フェードアウト処理を施し、こうして作ったパートを何種類も重ねてミキシングして仕上げると、すてきな秋の虫のBGMも作れます。


私が秋の虫の声を録音し始めたのはここ数年ですから、最初のころと目立った変化はありませんが、これから先はどうでしょうか。ただでさえ少なくなっている秋の虫。そのうち、去年は聞こえていたのに今年は聞こえない、といった種類も出てくるのではと心配です。


そんな悲しい時代を招かないためにも、どうしたらこの残り少ない自然を守っていけるのかを考えながら、ぜひ皆さんも秋の虫の声を録音してみてください。最近のレコーダーはポケットに入れて気軽に持ち運べるサイズですから、ちょっとした散歩の合間でも、気軽に録音が楽しめます。ただし、夜の録音は一人では何かと物騒ですから、家族や友だちなどを誘って、必ず複数で行動してくださいね。そうすれば楽しい語らいも広がって、一石二鳥です。


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