重陽節句に栗、柿、葡萄」by id:C2H5OH


イエはてな界隈で毎年話題の菊の節句をわが家でも祝おうと調べていたところ、こんな記述のあるページが見つかりました。


重陽には、栗、柿、葡萄を賞玩す。家々に儲置て、来る人毎に出してもてなしとす。烹物には必ず松菌を用ひ、魚類ははもを用ること通例なり。」
http://www.kuidaore-osaka.com/jp/starting_point/senba/10913_1.html


これは幕末の大坂町奉行、久須美祐雋(くすみゆうせん/すけとし)が記した「浪花の風」という随筆の中の一節だそうです。さらに調べてみると、この久須美というお奉行様は本来は江戸の人で、約7年にわたる大坂在任中に、特に江戸と異なる大坂の風土・文化を、こと細かく書き記していることが分かりました。


重陽節句には、栗と柿と葡萄を賞味する。これが江戸時代の大坂の習慣だったんですね。しかも各家々ではそれを訪れる人にお出しして、もてなしていたと言うのです。なんと美しい習慣ではありませんか。わが家も多少大坂に縁がありますので、今年はぜひこれを取り入れてみようと考えました。


しかし、さすがに新暦の9月9日では、葡萄はいいとして、栗と柿はまだ早いようです。そこで新暦の9月9日には、干し柿と甘栗と葡萄を皿に盛って、菊の花と共にテーブルに飾ることにしました。菊といってもまだ季節が早いですから、花屋さんにほぼ通年出回っている小菊ですが、雰囲気は出ています。


今日わが家を訪れた人には、たとえ回覧板を持ってきてくれた人であっても、上がってそれを食べてもらう予定です。今ごろ誰か来ているでしょうか。


本番の旧暦9月9日は、今年は10月16日になりますから、その頃なら、もう柿もいいのが出回っていそうです。いが付きの栗も探してきて、葡萄と共に籠に盛って玄関に飾りましょう。久須美祐雋によれば「烹物には必ず松菌(松茸のこと)を用ひ」だそうですから、ぜひ松茸も飾りたい所ですが、それは懐具合次第と言うことで(笑)。


そしてもちろんテーブルの上には柿と栗と葡萄。その日に訪れてくれた人には、それらを食べて頂いて、お互いの健康長寿を祈願し合います。


ふと考えました。旧暦9月9日には菊の花でも手みやげに親しいイエを訪問し合い、こうしたもてなしを楽しむ習慣が生まれたら楽しいだろうなと。ハロウィンの「Trick or treat」じゃないですが、柿と栗と葡萄をくれないと菊の花をあげないぞ、という大人の訪問ごっこです。そんな空想もちょっと楽しいこの古き良き大坂の習慣「重陽節句には栗・柿・葡萄」を、これからのわが家の恒例にしていきたいと思っています。


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