「木で食器を作ってみよう」by id:Oregano


木という素材は、昔から食器としても使われてきました。もし自分の食器を自分で作ることが出来たらどんなに楽しいでしょう。手作りの思い入れある食器で食べたら、どんな食事でもご馳走ですね。食への関心や感謝も一層深まることでしょう。


この食器作りを授業に取り入れている学校があります。たとえば台東区立平成小学校では、図工室にずらりと並べられた多種多様な木材を自由に選んで、自由な食器作りを体験する「総合的な学習の時間」を行っています。素材となる木は、保護者や先生方が、様々なつてをたどって集めてきた物。中には屋久杉などの貴重な素材もあるそうです。子供たちは、木の持つ質感、色、香りなどを手にとって確かめながら、好みの素材を選んで工作に取りかかります。完成した食器は、地元の漆職人さんがボランティアで、本格的な漆塗りに仕上げてくれるそうです。
http://www.u-gakugei.ac.jp/~w-woods/gdweb/nl/nl1-ura.pdf


イエでもぜひ親子で、食器作りをやってみませんか。本格的な器作りなどには、日曜大工にはほとんど使われない特殊な道具が必要ですが、スプーンやフォーク、バターナイフといった簡単な形のものなら、小刀や彫刻刀などを駆使すれば何とかなります。


大切なのは素材選びです。木材は樹木の種類によって性質が大きく異なりますから、できるだけ色んな種類の木材に実際に触れてみてください。ちょっと敷居が高いかもしれませんが、「何々銘木店」などというお店に足を運んでみると、普段は目にすることがないような、様々な素材に出会うことが出来ます。


こんなサイトもお勧めです。府中家具工業協同組合というところが運営しているサイトで、200種を超える国内外の様々な木材の植物学的分類、産地、色、性質、用途などが写真付きで掲載されています。
http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/


以下、一例として私が作ったバターナイフのことを書いてみます。素材はオリーブウッドを選びました。これはとても硬く加工しづらい木なのですが、バターナイフなら簡単な形ですから、難しいことはありません。板を大まかな形に切り、木工ヤスリを使って形を整え、サンドペーパーで仕上げるという、刃物はノコギリしか使わない作り方をしました。これなら小学生でもOKですね。サンドペーパーは120番という粗い物から初めて、順次番手を上げていき、最後は2000番で磨き上げるとツルツルになりました。


仕上げは有毒性が懸念される塗装は避けて、食用油によるオイル含浸です。ツゲの櫛を椿油に漬けて磨く、あれと同じ仕上げ方ですね。素材がオリーブウッドですから、使ったオイルもオリーブオイルでした。たっぷりとオリーブオイルを染み込ませ、日陰で一日寝かせます。そして柔らかい布で磨くと、素晴らしい光沢が生まれました。


日常のお手入れも、オリーブオイルや椿油を染み込ませた布などで磨いてください。水洗いは可能ですが、すぐに水気を拭き取って乾燥させた後、オイルを染み込ませた布で磨いてくださいね。オリーブウッドは使い込むごとに深い味わいが生まれてくる木ですから、こうして丁寧に手入れしていけば、ずっといつまでも愛用していけます。


なお、オリーブオイルの主成分はオレイン酸で、これはリノール酸などに比べて酸化されにくい性質を持っています。酸化した油は体に毒ですから、木製食器の仕上げや磨きに使うオイルには、ぜひオレイン酸主体のオリーブオイルや椿油を選んでください。


親子で作った食器で食事を楽しむと、木の温もりと手作りの感触が、さらに食卓の喜びを盛り上げてくれると思います。工作好きの親子の皆さん、ぜひやってみてくださいね。


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