「家族それぞれの風呂敷」by id:SweetJelly


母と私が日舞、父が邦楽とそれぞれ伝統芸能に関わっている我が家では、風呂敷が欠かせないモノになっています。様々な物を包んで持ち運ぶのは勿論、楽屋での物の整理にも風呂敷は欠かせません。楽屋は慌ただしく、物を紛失したり他の方の物と混じってしまったりしがちですから、一目で自分の物と分かる風呂敷が不可欠です。


祖母や母は、自分の名を染め抜いた特注の名入れ風呂敷を持っています。すごいなぁ、かっこいいなぁと、子供の頃の私はずっとそれに憧れていました。ある時私も欲しいといったら、母に、あなたはまだ入れる名前がないでしょうと笑われてしまいました。踊りの世界では、名取りになるまでは全くの無名。踊りの世界で名乗るのは生まれた時にもらった名前ではなく、実力を認められて頂く、踊りの世界での名前なのです。その名を授与されるから「名取り」。名取りにならなければ、名入り風呂敷を作ろうにも作れなかったのでした。


やっと名取りになれた時、念願の名入れ風呂敷を両親が作ってプレゼントしてくれました。嬉しかったなぁ。両親は自分で新しく作ったり、何かのお祝いにプレゼントされたりとそれぞれ何枚もの名入れ風呂敷を持っていますが、いつも使い込まれた古い風呂敷を愛用しています。きっと色々な思い出が染みついた風呂敷なのだろうなぁと思います。


もちろん踊りを離れた日常でも風呂敷は欠かせません。まずイエはてなでお馴染みのお買い物時のバッグ代わりですね。マイバッグもいいですが、外出ついでやお出かけ帰りの買い物には、使う直前まで畳んでおける風呂敷が最適です。
夏になると、父が大きなスイカを丸ごと買って、それを風呂敷に包んで提げてくるのも恒例です。子供の頃からそうでした。こういう買い物も、マイバッグでは似合いませんね。


そのほか、大切な掛け軸の桐箱などを包んでおくのも風呂敷ですし、普段は使わないお客様用の座布団などをまとめておくのも風呂敷です。
最近はイエはてなの書き込みを参考に、イエを彩るファブリックとしても風呂敷を活用しています。
家族それぞれに様々な形で活用されていく風呂敷は、我が家の、そして一人一人の様々な「モノ語り」を染み込ませながら、毎日に欠かせない道具としてこれからも使い続けられていくことでしょう。


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