「土の龍と書いてミミズ・土を蘇らせてくれる素晴らしい生き物」
by id:TomCat


今は土龍(土竜)と書いてモグラと読みますが、昔はこれはミミズを指す言葉でした。現代の生物分類ではミミズは環形動物門というのに分類されています。ゴカイなどと同じ仲間ですね。ゴカイは環形動物門多毛綱、ミミズは環形動物門貧毛綱。生物は水中や水辺で進化して、それから陸に上がったと考えられますから、ミミズのご先祖も最初はゴカイのような水に住む生き物だったと考えられます。それが陸に上って土の中で生きるようになって、だんだん毛がなくなっちゃったんですね。


でも、ミミズをよーく観察すると、ミミズの体には横にシマシマがありたくさんの体節に分かれていますが、その体節ごとに、短いながらも立派な毛が生えているんです。これが、足もないのに結構長距離も移動できちゃうヒミツ。この毛がスパイクの役目をしているんですね。


ゴカイは体の両側に脚があって、そこに多くの毛が生えていますが、ミミズもちゃんと歩くための毛を持っているんです。こんなふうに、ただのニョロニョロした体にしか見えないミミズにも、けっこう高度に発達した体の仕組みが備わっていたりします。


さて、このミミズが土を肥やしてくれるのは有名な話ですが、それを積極的に家庭や学校、職場などに導入して、生ゴミ問題を解決しようという動きがあります。ミミズはなかなか食欲旺盛な生き物ですから、ちゃんと飼い方を知って正しく世話できれば、家庭から出る野菜ゴミくらいは楽勝で処理してくれちゃうんですよ。もちろんミミズが作ってくれた土は、園芸などの肥料として活用していけます。こちらの本に、ミミズに生ゴミを処理してもらうやり方が詳しく書かれています。


生ゴミを食べてもらうミミズ御殿の作り方―ミミズコンポスト完全マニュアル

生ゴミを食べてもらうミミズ御殿の作り方―ミミズコンポスト完全マニュアル


だれでもできるミミズで生ごみリサイクル―ミミズに学ぶ環境学習

だれでもできるミミズで生ごみリサイクル―ミミズに学ぶ環境学習

  • 作者: メアリーアッペルホフ,Mary Appelhof,佐原みどり,科学教育研究会
  • 出版社/メーカー: 合同出版
  • 発売日: 1999/12/01
  • メディア: 単行本
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こちらは1982年にアメリカで発行された本の翻訳。この本は世界的な反響を呼び、長年に渡って多くの人に読み継がれています。長くミミズの研究を続けてきた著者が、生ゴミ処理の道具としてではなく、生き物として大切に飼っていくための知識と技術も教えてくれます。


みんなでためすミミズコンポスト・マニュアル―学校・地域で学ぶリサイクル

みんなでためすミミズコンポスト・マニュアル―学校・地域で学ぶリサイクル

こちらは学校や職場などでやや規模の大きなミミズ・コンポストを導入していくのに適した解説書。カルフォルニアにおける実践例を下敷きに書かれているので、とても実用的な内容です。


だれでもできる楽しいミミズの飼い方―ミミズに学ぶ循環型社会

だれでもできる楽しいミミズの飼い方―ミミズに学ぶ循環型社会


こちらは日本のNPO法人が編纂した本。19におよぶ実際例が紹介されています。著者の中村好男氏は最初にご紹介した本も執筆されていますが、実は農学博士で愛媛大学農学部教授(生物資源学科生物生産システム学専門教育コース)。日本のミミズ研究の第一人者の先生なんです。


ミミズと土と有機農業―「地球の虫」のはたらき

ミミズと土と有機農業―「地球の虫」のはたらき


同じく中村先生の本。中村先生は長く農水省の研究機関に勤務しておられた農業の専門家でもあります。


わが家には幸い庭がありますので、箱形のミミズコンポストではなく、土に穴を掘ってそこでミミズさん達を飼っています。こうすると生ゴミを入れても水分過多で腐ったりすることが無く、悪臭の発生もないので、人間もミミズさん達もとても快適なんです。


ミミズの餌にするためには、野菜屑などを細かく刻んであげた方がいいですから、料理の都度、ミミズさん達のためにも包丁でトントントン。こうしていると、愛情が湧きますよ。持っていく時も、「はーい、みんなー、ごはんだよー」なんて声をかけちゃったりします。


ミミズも一緒に生きる大切な地球の仲間。「気持ち悪い」が「可愛いな」に変わっていくところから、本当の意味でのエコロジーが始まっていきます。国際生物多様性年の今年、ぜひ皆さんもミミズを、愛情の眼差しで見つめ直してみませんか。ミミズを通しての学びは、自分のためにも、地球のためにも、とても大きいものがあると思います。


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