「来年、上越で会いましょう」by id:vivisan


イエはてなでは何度か書いていますが、私たち夫婦は、歴史好きが高じていつのまにやら地元の戦国系のおまつりをプロデュースする立場になってしまいました。
そんな私たちが毎年参加している歴史まつりがあります。それが、新潟県上越市で夏に行われる「謙信公祭」です。以前はお盆の時期でしたが、今は8月の終わり頃に開催されています。
このお祭りは、ふつうのお祭りとは違って夕方から夜にかけて行われます。パレードで町を歩き、夜に春日山城下にある公園のグラウンドで川中島合戦を再現します。もちろん主役はお土地柄上杉なんですけど。


お祭りにはもう4、5年参加をしています。最初に参加したのはまだ私たちが関東に住んでいる頃でした。同じように歴史好きも参加するので、一種のオフ会みたいな感じになっていて、それはそれで楽しみの一つでもあるのですが、うちの夫婦が参加する目的が変わりました。


一番最初に参加した年のこと。お祭りでは上杉対武田に分かれて、必ずどこかの武将の隊に所属するのですが、この隊には私たちのような全国から集まった人もいれば、上越市民の方もいらっしゃいます。前の日のリハーサルから練習をはじめ、隊にも連帯感が生まれてきます。私たち夫婦の隊は上杉隊の武将の隊でした。
「どこから見えられたのですか?」
「(そのときは)横浜からです」
その方は少し御年を召されていましたが、そこはやはり歴史好き。一瞬で打ち解けてきます。上越の方たちは地元にとても誇りをもっていらっしゃって、好きな武将やお城の話なんかで盛り上がりました。
「毎年参加しているんです♪これに参加しないとお盆じゃないです。」その笑顔がとても素敵でした。
またもう一人の方はタクシーの運転手をされていて、せっかくの郷土のお祭りに参加したくても忙しくてできず、今年がはじめての参加とのことでした。
そして、本番もばっちり♪みんなで一緒にお祭りを楽しむことができました。
この祭り、実は体力をものすごく消耗するんです。炎天下の中でリハーサルをやり、夕方とはいえ、甲冑をつけてのパレードはものすごく暑いんです。クールジェルなどを持参でがんばるのですが、大量に汗をかきます。そして夜もまたむし暑い。でもこれだけの過酷な祭りをみんなといっしょに乗り切れたという達成感はなにものにも変えがたいものでした。


その後、上越の方々主催の懇親会が始まります。焼肉を焼いてくださって、参加者と地域の方がいっしょになって大騒ぎw
そこでは、知り合いの歴史好きの人々とも再会を楽しみましたが、上越の方々の心からのおもてなしに感動してしまいました。
隊ごとに集まって、「おつかれさまー♪」毎年参加の方はもちろん、タクシーの運転手の方もすごく楽しかったらしくて、来年は上越の方々で構成されている団体に入ることを決意されていました。
「このお祭りはね、もうすぐ80回になるんだよ。」毎年いろいろなことを試みていたそうで、そのときの思い出話をすごく楽しそうに語ってくださる関係者の方々。
「こうやって遠くから来てくれる人たちに本当に感謝してるんです。参加されたみなさんが本当に楽しかった♪って笑顔でいってくれると、来年もがんばろう♪って気になるんですよ。しっかりと歴史を残していきたいです」
この気持ちすごくよくわかるんです。その頃も祭りのお手伝いしていて、内容についてダンナと揉めたことも何度かあったけど、実際のお祭りで参加者や見にきてくれた人の笑顔みると苦労ふっとんじゃうんですよね。
またその土地の誇りをちゃんともっていらっしゃいます。
上越市はね、この春日山直江津と高田が合併したんです。高田には高田の、直江津には直江津の、春日山には春日山の歴史があるんだけど、これからは一体となってもりあげていきたんです」
このようにして本当に私たちを心からもてなしてくださったのでした。
そして「来年もまた来ますね♪」といって上越をあとにしました。


次の年も参加をしました。今度は上杉隊でしたが、昨年とは違う隊です。私たちは着付けにも慣れているんで、着付けのお手伝いをしたりしてすごしていました。ひと段落して休憩していると、昨年の参加者のおじさんがきてくださったのです。
「こんにちは♪やはり来ましたね♪」
私たちのこと覚えててくださったんです。隊はちがいましたが、同じ上杉隊どうし。お互いに頑張りましょう♪ってお話できました。
そして、タクシーの運転手の方はというと・・しっかり、上越の団体の一員として頑張っていらっしゃるではありませんか!
「うわー!一年ぶりですね!」こうやって再会を喜びあうことができたのです。
そして、今度はあらたな上越の方々を知り合うことができました。ある人は、私たちの祭りに参加してくだいました。


年を重ねるごとに、地元の知り合いが増えていくんです。今までは、歴史好きの知り合いに会えるのが目的だったのに、いつの頃から、上越のアツイ方々をお会いできるのが楽しみになってきて、目的が変わってきました。
特に手紙のやりとりをするわけでもなく、確実な約束をするわけでもありません。でも来年にはそろって笑顔で会えるんです。
別れ際のあいさつは、「来年、上越で会いましょう」になりました。


そして、一昨年のこと。大河の「天地人」が来年放映とのことで、GACKTさんを謙信公として招き(2回目)、募集人数が増えました。私たちはイベント会社さんのお手伝いをすることになりました。なので一般隊としては参加せず、一隊をまかされました。私とダンナは別々の隊をまかされ、私は武田隊の山県隊をみていました。参加者の中にも知り合いが何人かいたので、まだ楽でしたが、右往左往しながら隊の着付けを行ったり、連絡事項を伝えたり、たいへんでした。
そんな中で少し休憩をしていたところ、上越の常連さん方があいさつにきてくださったんです。
「あれ?今年は出ないんですか?」
「今年はお手伝いなんです。今回武田なんでおてやわらかに頼みますね♪」
毎年毎年気にかけて声をかけてくださる方々。ほんとうにこれだけで、上越に来てよかった♪って思える一瞬でした。本当に感動ものです。
さすがに懇親会は人数が多くなったのでなくなりましたが、いろんな方々をお話ができてほんとうにうれしかったです。お祭りもなんとか終わりましたし♪


昨年は、義父の不幸もあっておまつりなどは自粛しておりましたが、今年はあの上越の方々の笑顔を見るのが楽しみで参加をするつもりです。
「一期一会」という言葉があります。この言葉どおりその年だけしかお会いできない人もいますが、こうやって年をつみかさねてお会いできるのって本当にすばらしいことではないでしょうか?お祭りを通して私は上越の方々からいろんなものをいただいています。地元に対する誇りだったり、お祭りに対する意気込みだったり、言葉にできないことも多いんですが、すごくありがたいです。もちろん上越にいかないと会えませんけどw
これが終わると、さぁ、自分たちのおまつりに力をいれなきゃ!がんばらなきゃ!という気になります。
このすばらしい出会いを大切にしたいと思います。上越市は私には一生忘れることのできないすばらしい場所です。


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