「糸の神様、猫の神様」by id:Cocoa


都心からはちょっと離れていますが、東京立川市の五日市街道砂川四番交差点近くに阿豆佐味天神社という神社があります。この境内の中にある蚕影神社(こかげじんじゃ)が養蚕の神様、糸の神様です。
詳しいことは分かりませんが、おそらく日本の絹の発祥地という説もある茨城県つくば市の同名の神社が大元と思われます。つくばの蚕影神社はなんと二世紀の創建と言われる大変由緒ある神社で、御祭神は蚕と桑の神様とされる和久産巣日神ワクムスビノカミ)様。当時の筑波国造が社を建ててこの神様をお祭りし、養蚕を奨励したのが始まりといわれています。
この神社が立川に祭られたのは寛永6年のこと。当時はこの一帯もとても養蚕が盛んな土地だったということです。
立川の蚕影神社はもうひとつ、猫返しの神社としても有名です。本来の猫返しとは、蚕をネズミの害から守ってくれる猫の代わりとなるお守りをお借りして家に持ち帰り、一年経ったらお礼を添えてお返しするという意味の猫返しなのですが(昔は猫は貴重な存在で、簡単に飼える動物ではなかったのですね)、今では行方がわからなくなってしまった愛猫を帰してくれる神社として有名になっています。なんでもピアニストの山下洋輔さんが迷子になってしまった愛猫のことをお願いしたら翌日帰ってきたということで、感激した山下さんはピアノで雅楽「越天楽」を演奏して奉納したということです。
糸と猫の関わりは意外でしたが、蚕をネズミの害から守り、日本の絹を守ってきた猫は、とってもえらい動物だったんですね。時々イエはてなでは野良猫ちゃんを助けることの重要性が語り合われていますが、歴史的に日本の産業を支えてくれた動物の子孫という意味も込めて、大切にしていかないといけないなぁと思います。


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