宮沢賢治世界に思いを馳せる「下ノ畑ニ居リマス」黒板の製作」
by id:Oregano


プランターで作物を育てているうちに、いつか大きな畑がほしいと思うようになってきました。でも土地は簡単には手に入りません。真夏の夜空を見上げながら、あの空が耕せたらどんなに楽しいだろう、なんて考えてしまいました。
そこでふと、先のいわしにも夏に読む本として銀河鉄道の夜があげられていましたが、私も銀河鉄道を思い出しました。銀河鉄道宮沢賢治…「下ノ畑ニ居リマス」の黒板…。そうだ、せめて「下ノ畑ニ居リマス」黒板を作って晴耕雨読生活の夢を見よう!
本物の羅須地人協会の黒板は、杉板を並べて壁に固定したなかなか立派な物みたいですが、
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私はもうちょっと小さな、部屋の中でも使えるようなサイズで作ってみることにしました。
材料は、ちょうど45cm×30cmくらいの薄っぺらいシナベニヤの切れ端があったので、それを活用することにしました。写真を飾るパネルのように枠を付ければ、これでも十分実用になるはずです。物置を漁ると、ゆるやかなU字型の溝が掘られた角材も見つかりましたので、それは黒板下部のチョーク置きの桟に使うことにしました。あとは2cm×1cmくらいの断面の角材。これは枠に使います。
さらに今回は、物置を漁っていたらいい感じに錆びた古クギが出てきましたので、それを組み立てに活用することにして、全体にそれに合わせた古色仕上げを施すことにしてみました。
その他、黒板表面に塗る黒板塗料は、クラシックなブラックを選択しました。枠やチョーク置きの桟は木部用ペイントのつや消しブラックを用いました。
以下、製作手順を書いていきます。
まずシナベニヤの表面処理。黒板塗料を塗る前に、サンドペーパーでよく擦ってスベスベに。続いて濡らして固く絞った雑巾で粉を拭き取り、木部用下地調整パテを木の目に直角にヘラで擦り込んでいきました。パテが完全乾燥するのを待って、再度サンドペーパーかけ。これで下地は完成です。
次にもう黒板塗料を吹いてしまいます。枠付けなどはその後。なぜなら、わざと錆びたクギの頭を表面に出して、古さを強調する作戦だからです。おそらく釘の頭の上に黒板塗料を塗った場合、数十年たてば釘が錆びて塗料が剥げ落ち、錆びた頭が露出するはずです。その雰囲気を、製作手順の後先を入れ換えることで実現してみようという計画です。
黒板塗料は、一度に分厚く塗ろうとせず、薄く何回もに分けて塗っていくのが上手に塗るコツです。塗り重ねは、必ず十分な乾燥時間をおいてから行います。私は今回4回塗りしました。
ベニヤの側面は黒板用でない黒のペイントを塗っておきますが、ここでちょっと洒落っ気を出して、表面の周囲1cm弱にも、縁取り的にペイントを吹き付けてみました。つまり側面を塗る時に表面全体をマスキングせず、1cmほど周囲を露出させておいたということですね。これで、黒に黒でほとんど目立ちませんが、単調な黒板にちょっとメリハリがつきました。
あとはベニヤの裏に角材で枠を付け、下辺にチョーク置き用の桟を付ければ完成です。今回は塗装は全て組み立て前に行いますので、これらの角材も予めスプレーで黒く塗っておきました。塗りはあくまであっさりと。塗膜を感じさせない程度にとどめるよう注意しました。
続いて組立です。錆釘を使ってトントントン。黒く塗った所に黒ずんだ錆釘ですからほとんど目立ちませんが、よく見ると古めかしい様子が見えます。古クギ作戦は成功です。黒板を吊り下げるヒートンにも錆び付いた物を使いました。ただ形の揃った物がなかったので、2個のうち1個は丸い頭の物、1個は?型となりました。おまけに?型の方は形が曲がってひしゃげています。でもこういうのも有りでしょう。
組み上がったら古色仕上げです。ここが最も面白い所ですね。どうやって古く見せようかと思い、まず黒板表面に、書いては消し、書いては消しを繰り返しました。久し振りに落書きらしい落書きをしました。チョークで書くって楽しいですね!!
続いて埃にまみれさせました。不均一さを出すため、釘やヒートンなどの周囲をちょっと湿らせます。そして埃代わりにチョークの粉や「とのこ」の粉などを不均一にまぶし、いかにもそれっぽくなるように一部をこすりつけるなどしてから、刷毛で払い落としました。それを雑巾で拭くと、きれいにならずに木目に汚れが入り込んだりします。そしてまた同じことを繰り返します。気に入った汚れ方になるまで、色々試行錯誤を繰り返しました。
ほかにも色々試行錯誤を繰り返して、ご覧のようになりました。かなり使い込んだ感じが出ているのではないでしょうか。憧れのフレーズ「下ノ畑ニ居リマス」を書いて記念撮影をした後は、これをわが家の連絡黒板にすることにしました。レトロな真っ黒な黒板にチョークというスローな感じが、家族間のコミュニケーションに温か味を添えてくれたような気がします。


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