「夏の草木花で染め物してみませんか?〜科学も社会もお勉強〜」
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かつてツユクサの押し花、色水を作ったとき、紙に残った鮮やかな色がだんだんと退色していく変化に気づきました。
始めは派手ともいえる濃い青色が少しずつ徐々に徐々に赤紫そして茶色へ変わっていくのです。
その色の変化、またその押し花を何年も持っていて、しおりに使っていると、これは草木染めに使えるかも・・と思いつきました。
草木染めの経験は、地方での宿泊時に体験程度にしかありません。草木染めの歴史や適したもの、そして使う布などを染め物の専門家の方に伺いました。
この夏、染め物をしてみよう。そんな決意が私の胸を揺り動かしました。
染め物職人の方の自由時間を利用させていただき、1泊2日。
お手伝いを条件に自分の作りたい染め物を作りました。
使ったのはツユクサと藍です。


まずはツユクサから紹介いたします。
1)ツユクサをガーゼに包んで木槌で十分に叩きます。
2)ガーゼに包んだ状態で優しく漉します。
3)色素に満ちた物に水を少しずつ加えます。
4)ハンカチや手ぬぐい(←オススメ)それぞれ個人の好きな布地を加え、5分程度浸します。
5)布地を自然乾燥(←大切!)で十分水気を飛ばし、そして再度30〜40分程度浸します。
6)薄めた過酸化水素水(←薬局で買えます)で色を留めます。
そうすると、布一面にツユクサのおぼろげな青が現れます!
過酸化水素水に重曹を多少加えてもよいかもしれません。


次に、藍。藍は染め物でもメジャーで、古くから染め物と言えば藍と言われ、浴衣やのれんの濃く色あせにくい青は印象的です。
もう、説明の必要はないと思います。基本はツユクサと同じやり方です。
1)ミキサーにかけて、色素と繊維を分離します。
2)木綿でこし、水を加えます。
3)布や糸を10分浸して乾かし、再び20分浸して、薄めた過酸化水素水や酢で色止めをします。
4)葉を布の上に置き、当て布をして金づちで叩(たた)くと、葉の形をした濃い青緑色の染め模様が出る。
5)これを水で洗うと薄い青になる。
布地は、お手ふきやのれんくらい大きくてもよいとおもいます。


エントリを書くとき、私の体験したことが世間一般から外れているのではないかと参考になる記事やWebサイトを調べました。
すると染め物に関する素敵なサイトが見つかったので、染め付ける時間データとしても役立つと思います。
下の記事では、藍とクサギを使っていますね。こういう記事が文化としてだけでなく、環境という意識の啓発に役立てられたら・・・と思うのですが。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/culture/article.aspx?id=20090628000075
草木染め/涼しげな夏の色楽しむ


私が忘れていたことは、染め物をするためには草木や花を育つ環境を作っておかないと染め物はできないと言うこと。
幸いにして、染め物をした職人さんの家の裏は山なので、素材の入手には事欠きませんでした。
何もせずに材料となる植物を手に入れることができるのは、雨や気候に恵まれた日本のおかげ。
砂漠化、水不足に悩む諸外国にとってはすべての自然が貴重な資源なのです。
私たち日本人も農工業に用いることのできる水質に、そして澄んだ水を与えてくれる山林に感謝ですね。


ただ、植物を育てるのはたとえ一年草であっても、藍を例に取ると少なくとも半年先を考えて、種を蒔かなければなりません。
タネを蒔く、蔓が伸びる、根を張る、花が咲く、実をつくる。自然の変化に敏感であると共に土壌にも気を配らないと行けないのですね。
たかが、布地のためだけに植物、さらには木や土壌、そして水など環境への配慮が必要なんですね。
私は下の本で、体系的な自然利用のすばらしさや日本の恵まれた気候を知ることができました。


木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)


単なる工作だけでなく、生活の営みから環境全体を捉えること−こういうことが本来の「ゆとり教育」なのではないのでしょうか?
体験から事物を科学的に観察し、総合的にものごとを社会的に捉えること、こういうことをイエはてなから、時間のある夏休みの自由研究として発信出来たらと思います。
いま自作の染め物を体験した人はなかなかいないと思うので、話のタネにもなると思いますよ。


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