「映画から学ぶ帽子のダンディズム」by id:watena


「ボルサリーノ」という映画があります。30年代のマルセイユを舞台に、野心とロマンに生きた二人の男を描きます。数年後には「ボルサリーノ2」も作られました。どちらも70年代前半のフランス映画を代表する作品です。
実はこのボルサリーノ(Borsalino)という言葉は、イタリア・アレッサンドリアに本社を置く帽子メーカーの名前なんです。ミラノ、トリノジェノヴァを結ぶ工業の三角地帯の中心に位置するこの場所はフランスでも有名で、そこの老舗であるボルサリーノの帽子は、一種独特のダンディズムを表すアイテムとして、この映画に深い影響を与えているわけです。
同社は1857年創業。社名は創業者の名前です。ここでは今も、古参の職人さんが仕事に就く前から使われているような古い木型や機械による手工業的生産が行われていて、ソフト帽やパナマ帽、チロルハットにハンチング、ベレー帽にサファリ帽など、多様な帽子が作られています。
さて、映画「ボルサリーノ」の中で、アラン・ドロンはボルサリーノの帽子をかぶって登場します。黒のタキシードに白のスカーフ、そしてその上にダブルチェスターのコート。クラシカルなダンディズムに溢れています。
この映画ではほかにも、カジュアルな服装の中に自然に帽子が溶け込んでいる様子など、様々な帽子のシーンを見ることが出来ます。日本人、とりわけ現代の男は、制服としての帽子しか知らないのではないでしょうか。もっと自然に、服装のコーディネイトの中に、当たり前のように帽子を取り入れられるようなセンスを磨きたいですね。
そのための先生が映画です。特に洋画。様々な映画の中に、様々な帽子が登場します。しかし、アメリカ映画とフランス映画、イギリス映画にイタリア映画、それぞれにちょっとずつ、服装における帽子の位置づけが異なっているのに気付きます。着こなしの技が微妙に違うのです。さぁ、あなたはどんな帽子のお洒落が気に入るでしょうか。そんな視点で映画を見てみるのも興味深い物だと思います。


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