「春が旬。そして春植え。健康野菜・アシタバby id:momokuri3


アシタバはセリ科シシウド属の植物で、うれしいことに日本原産です。学名は「Angelica keiskei」で、Angelicaはシシウドの意ですが、keiskeiは幕末から明治にかけて活躍した植物学者、伊藤圭介氏(東大教授・日本初の理学博士・初代学士会院院長)の名前にちなんでいます。こういうところからも、これって本当に日本原産の野菜なんだとわかります。
アシタバ多年草で冬も緑色の葉を保ちますが、伊豆半島や伊豆諸島といった黒潮の影響で冬でもわりあい温暖な地域の特産だけあって、寒さにはちょっと弱いんです。また夏バテ知らずの健康をくれる栄養豊富な野菜のくせに、本人(本草w)は暑さに弱く、気温が20℃を超えると生育が悪くなってきますから、植物としての元気も、野菜としてのおいしさも、春が一番いい時期なんです。旬は春。アシタバは春野菜の一つと言えるんです。
また、アシタバの種まきには、4月から5月くらいが適しています。以前は秋まきとしてご紹介しましたし、そうやって育てている人も多いと思うのですが、春にまいた方が発芽後の管理が圧倒的に楽なことがわかったので、今は春まきとして扱っています。
発芽の適温は10℃から15℃くらいで、10℃を下回ると発芽に差し支えますから、最低気温が10℃を割り込む可能性がある地域では、直接地面に種をまかず、育苗箱を作ってそこにまいて、育ってから移植した方がいいと思います。育苗箱なら、夜は室内に入れて暖かくしてあげられますね。
アシタバの種はちょっと発芽しにくいですから、まく前に一晩水に漬けておきましょう。育苗箱にまく時は、5cm間隔くらいでまいていきます。種の時から光を好む植物なので、覆土はあまり厚くしません。種が隠れる程度に、うっすらと土をかぶせてやります。本葉が4〜5枚出てきたら、地面か本番のプランターなどに植え替えてください。ただしアシタバの根はとてもデリケートなので、痛めないようによく注意します。
地面に植える場合、真夏は日差しを避ける日よけが、冬には防寒のための盛り土が必要ですし、連作障害もあるので、暑さ寒さを避けて自由に移動でき、土を入れ換えれば連作障害も無関係の植木鉢やプランターでの栽培が楽かもしれません。例として、私は8号深鉢1つにつき1株を植えています。1鉢1株なら、どのくらいの間隔で植えればいいんだろうと考える必要がないのでとても楽です。
収穫は植えて2年目から。まだ開ききらない若い葉を茎ごと採ります。3年くらいで花が咲き、そのまま置くと枯れてしまいますので、それを避けるには花茎を摘んでしまいます。しかし花を咲かせて種を採るという手もあります。結実したら大切に保存して、翌年の春にまきましょう。
アシタバの根は朝鮮人参に匹敵する薬効があると言われていますので、終わってしまった株の根は無駄にせず、ぜひ焼酎に漬けてください。地植の3年物の根っこは直径数センチの立派な物です。色々な漬け方があると思いますが、私は砂糖などは一切加えず、果実酒用のホワイトリカーに漬け込んでいます。なかなかエキスの抽出が行われませんので、最初に漬けた物はもう3年越しになりますが、また漬け込んだままにしてあります。果実酒と違って飲んでおいしい物ではありませんが、飲むといかにも精力がつく気がします。
アシタバ茶を作る場合は、収穫した葉を塩一つまみ入れた熱湯で湯がき、冷水に2〜3時間さらしてアク抜きをし、水気をよく切って陰干しにしてください。育ちすぎてしまった葉をお茶に利用してもいいですね。飲む時は、水500mlあたりアシタバ茶は20〜30g。小鍋などで数分煮だしてください。
春野菜としては、茹でてギュッと絞って刻んでマヨネーズで和えるのが私は好きです。本場伊豆大島では、アシタバの葉に衣を付けて、これまた島特産の椿油で揚げた天麩羅があります。
お店で買う時には、葉が濃く鮮やかな緑色で艶のある物、茎のしなやかな物を選んでください。アシタバは鮮度が落ちると茎が折れやすくなる特徴を持っています。


»このいわしのツリーはコチラから