「宝相華との出会い@正倉院展by id:wacm


私が大好きな模様は宝相華。宝相華はちょうど飛鳥時代の頃に中国の文化が入って、仏教が伝来した頃に伝わったときに日本にやってきた模様だと言われています。模様のレパートリーは梅、蘭、孟竹、蓮華、牡丹、菊、葡萄、唐草など身近な植物が配され円形図案として世に残っています。また、龍や鳳凰、孔雀、麒麟などの伝説の動物などがあしらわれることもあります。私が初めて宝相華を見たのは中学2年生の時、旅行で奈良の正倉院へ見に行ったときのことでした。それまで、絵を描くにしてもあまり得意でなかった自分が宝相華を見たときに、自分でもデザインができる!と感じたのはこのときだけでした。複雑なデザインでありながら、飽きが来ない。1500年以上も前なのに、斬新さを失わせないモダンな格調。シックでありながら、軽やかな文様。。当時の職人や工芸の技術に舌を巻くほど驚きました。
中学校卒業後、しばらく美術には縁がなかった私だったのですが、就職してからの趣味の一つとして書道を始めました。書道の先生が仏典を筆写するときに宝相華も描きたいと行ったので近所の有志のみんなで勉強会を始めました。始めは簡単だと思っていた宝相華のデザインも、以外に難しい。動物と植物の配置に、組み合わせ、飛鳥・天平時代に使われた色・・・どれも深く考えれば考えるほどきりがなくなり、深みにはまってしまいました。かな文字とそれでも、宝相華は梅や法王、麒麟に竹など、吉祥を伝えるものであることは分かります。何気ないことから自分の好きな勉強を始め、中国の文化や芸術の背景、さらには日本の芸術の原点を知ることができて、とても好奇心が満たされる毎日でした。
それから、何年か経った後、たまたま都内の書店に行ったときデザイン事典を探してみると宝相華がありました。ウェブ時代になっても飛鳥・天平時代の衣装は風化するばかりか、反対にロゴの斬新さなど、モダンさ、親しみやすさ、どれを取っても劣りません。昨年度は、正倉院展に残念ながら行くことはできなかったですが、今年は正倉院展へ行って宝相華を見つけて楽しみたいと思います。宝相華は瑞祥を込める家紋やロゴなどの源流だと考えています。身近なものからの意匠・デザインに学ぶところは越猪です。
以下、宝相華に関する画像検索の一例です。繊細でありながら、神秘性を感じさせる風合いに当時の人びとの心も打たれたのでしょうか?

宝相華(google画像検索)


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