「落ち葉で作るサツマイモの苗〈床〉」by id:tough


最近、こちらで作ったチリトリがきっかけになって、秋の落ち葉集めが恒例になってきました。最初は家の前だけささやかに落ち葉はきをしていましたが、だんだん行動範囲が広がって、大量に落ち葉が舞い散る坂を発見。そこで集めると、軽トラ一杯の落ち葉がすぐ集まります。それをご近所で家庭菜園をしている人に差し上げるわけです。
http://q.hatena.ne.jp/1165558453/60665/
その落ち葉が、サツマイモの苗床になります。サツマイモは薩摩というくらいで、暖かい地方に適した作物です。発芽にも温度が必要で、関東あたりでは普通にやっていると発芽の時期がどうしても遅くなってしまいます。そこで落ち葉が活躍です。
落ち葉は、冬の間は飛び散らないようにして畑に積んでおきます。三月中旬ころに地面に苗床枠を掘り、そこに落ち葉をどっさり投入して水をかけて踏み込みます。しばらくすると落ち葉が堆肥化を開始して発熱しますから、この上に種芋を並べておくと、普通よりずっと早い時期に発芽するのだそうです。発酵熱利用の苗床です。こうして作ると、ちょうどそろそろサツマイモが食べたいなぁと思う秋に収穫が間に合います。
こうした落ち葉利用の苗床によるサツマイモ栽培は、たくさんの雑木林に恵まれていた武蔵野台地一帯で、昔は盛んに行われていたそうです。特に時の川越藩主は農作物の増産に熱心で、新たな開拓地には農家1軒1軒について畑と雑木林をそれぞれ均等に割り当てていくなどして、林が畑を育てていく農業政策を推進してきました。雑木林の存在こそが豊作につながることを、昔の人はよく知っていたのです。武蔵野台地は首都圏でありながら今も雑木林が残る一帯として知られていますが、それはこのあたりが人も通わぬ辺境だったからではありません。逆に農業振興を支える資源として積極活用されてきたから、雑木林が大切に保全されてきたのですね。
そういう昔の知恵を今に生かす落ち葉の苗床で育てたサツマイモが、そろそろ収穫の時期を迎えていきます。私も少しお裾分けをいただきます。
ところで、落ち葉の本当の所有者って誰なのでしょうか。落ち葉を降らせた木が生えている土地の所有者でしょうか。それとも落ちた道路などの管理者でしょうか。勝手に落ち葉を掃いて持ち去り、その分け前としてサツマイモをもらってしまう私は拾得物横領でしょうか。一度役所に問い合わせてみた方がいいかもしれませんね。だって、有機無農薬の手作りサツマイモは、あまりにおいしいですから(笑)。


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