★★★(三ツ星)

「ランドセル・ミュージアムby id:Lady_Cinnamon


以前、うちのイエには壁裏部屋があることを書きました。私の部屋にある壁裏は2畳ほどと狭いのですが、父の部屋にある壁裏部屋は真四角ではないものの4畳くらいの広々としたスペースになっています。以前は物置状態で入ることもできないくらいでした。最近私が実家に戻ってきたことを期に、一気に大掃除をしました。


元々、転勤族で忙しい父でしたので、思い出集めといっても写真は少ない枚数です。今のデジカメ時代の量とは比べ物になりません。忙しい合間に数少ない旅先で撮った記念写真が、厚いアルバム数冊に残っているくらいです。


壁裏部屋の大掃除の話しに戻りますが、その時、私の子供の頃の品がいくつか出てきました。もうボロボロで荷物などでペッチャンコにプレスされたランドセル。初めて球場まで応援にいった野球チームのメガホンバット。幼稚園頃のピクニック用のリュックサック・・・。


掃除の時は段ボール保存にしたのですが、いつの間にか父が壁に帽子掛けを釘打ちし、それらを飾り始めました。ランドセルはもちろん、子供の頃に行ったスキー合宿のグローブや、幼稚園の作文集まで壁にピン止めされています。


デジカメもまだ使えないアナログ世代の父にとって、私が思っている以上に思い入れがあるようです。戦前生まれの父。戦争でイエが燃えて無くなり、ランドセルのように残っている品が無いのだとポツリと言いました。父にとっては私のボロボロのランドセルでも、言葉では表せないほどの思いが詰まっているのかもしれません。


そんな半物置の壁裏部屋を、父は『ミュージアム』と呼んでいます。最近は、母が見つけた赤いバケツもミュージアムに追加されました。なんでも、幼稚園入園前の遊び道具だったそうです。


私はミュージアムの品をまじまじと見てみました。母と一緒に公園で砂遊びに使ったバケツ。父の大好きな野球選手を一緒に応援したメガホンバット。ペチャンコのランドセルをよく見たら、横に手縫いの人形のついたキーホルダーが付いていました。小学校6年間お世話になったランドセル。こんなのを付けて通っていたんだなと、子供の頃をあまり覚えていない割に感慨深い気持ちになりました。


品数も少ないし私自身の記憶も曖昧ですが、父と母に聞くと思い出話がいくつも出てきます。大人になってしまった子供にとって、逆に今、お子さんを育ててらっしゃる親御さんにとって、これらはガラクタオブジェ程度の品かもしれません。今はガラクタ予定でも、時が経ってから飾ると、その当時に閉じ込められた思い出が桜のように花開きます。


私は改めて『ランドセル・ミュージアム』と呼ぶことにしました。今は私中心の思い出:ミュージアムだからです。大人になってしまった子供の私としては、これからは、父母の写真などをピンナップして新たなミュージアムに育てていきたいです。


イエのどこかに思い出を飾るミュージアムスペースがあると、こんな心地よい気分になれるのだなと思いました。みなさんのイエに、ちょっとしたスペース、廊下でも、押し入れでも、空いている所があったら・・・そこが素敵なミュージアムスペースになるかもしれません。


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★★★ ミシュランコメント

イエに家族の記憶を詰め込んだミュージアムがある…小さな家族記念館、思い浮かべるだけで幸せな気持ちになりました。日本のイエは広くない、空間が足りないというけれど、こんなスペースこそ大切にすることがイエの豊かさなんじゃないかって思わされました。どんなに小さなスペースでもいい、これがあるイエはきっと幸せ。ランドセルの中に思い出の品を詰めておくのも素敵だなって思いました!