「手作り焼き肉のタレでBBQ大作戦」by id:tough


伯父が暑さにやられて倒れたとの報を聞き見舞いに行ってみると、意外に元気なので安心はしましたが、孫との約束が守れなくて残念だとこぼすことしきりでした。忙しい父親(つまり私の従兄)に代わって、宿題の日記に書けるような夏らしい楽しみの相手をしてやる予定だったらしいのですが、それが果たせなくなってしまったというのです。ならばその役、私が引き受けましょうということで、休みを使ってプールに連れて行ったりしていましたが、そこは子供慣れしていない独身男の悲しさ。すぐにネタ切れになってしまいました。


プールの帰り、率直に子供に「今度は何したい?」と相談してみました。すると、バーベキューがしたいという答えです。ここでピンとひらめきました。なら、特製の焼き肉のタレを作ろう、普通じゃ売ってないような特別製。それを使って、君が主催のBBQパーティーを開く。お友だちも呼んでいいぞ。材料は全部おごりだ!!タレの仕込みで一日。BBQパーティーで一日。このテーマで二日たっぷり楽しめます。日記の材料としても、焼き肉のタレ手作り体験記は新鮮なテーマになりそうです。


土曜日、子供と二人で材料の買い出しに出かけました。焼き肉のタレなんて本当に手作りできるの?といぶかしがっていますが、そこはビンボウ学生経験の長かった私にお任せです。体育会学生にとって焼き肉は何よりのご馳走ですが、タレは買うと結構高いので、有り合わせの材料で手作りが伝統でした。ですから、色々なレシピが頭に入っています。


お店を回ってみると、リンゴの見切り品が4個150円で置いてありました。もうリンゴ、出回っているんですね。
「よーし、今回のタレはこれが主役だ!」


あとは…。タマネギ。これは焼き肉の具にもなるので必需品ですね。ニンジンも栄養があるのでぜひ焼きましょう。もちろんこれもタレの材料に使えます。ニンニク、これもタレに入れましょう。コクが出ます。ニンニクを入れるなら生姜も必需品。爽やかさが出ます。最後にレモン。コクのあるタレで焼き肉を楽しんだ後は、あっさり塩レモン味焼き肉で締めて終わる。これがわたし流の夏BBQです。肉やその他の野菜類なども買って、準備万端整いました。


ではタレ作りです。
リンゴ半分。タマネギ半分。ニンジンも半分。ニンニク1かけ。生姜も1かけ。そして、じゃーん、秘伝、ニラ醤油〜。ニラを生のまま刻んで醤油に漬け込んだ物です。これはわが家から持参したもの。その他の物はキッチンを見渡して見つけた物を適当に。
まずフードプロセッサーにリンゴ、タマネギ、ニンジンを適当に切って投入。ニンニク、生姜も入れて粉砕します。「スイッチオン!」「いくよ!」ガガー。包丁を使う所も、フードプロセッサーを扱う所も、全て子供にやってもらいました。


続いて鍋に清酒を半カップ味醂カップ、合計1カップを注ぎ、火に掛けてアルコールを飛ばします。
「鍋の中に火が入るから離れてて」
こはちょっと荒っぽい作業なので大人の私がやりました。鍋をちょっと傾けると、青白い炎がボッ。アルコールが燃えているんだよと説明すると、お酒って本当に燃えるんだねと驚いていました。


煮切ったら秘伝ニラ醤油を1カップ。従兄のお嫁さんが三重の人なので、いい赤味噌もありました。これを大さじ3。さらに、甘み付けと焼いた時の適度な焦げ目の演出用に砂糖を適宜加えます。今回は黒砂糖があったのでそれを大さじ2、白砂糖を大さじ3といった感じで加えてみました。ハチミツも大さじ1 加えてみます。そして一煮立ち。


いったん火を止めて、フードプロセッサーの中身を投入。これをゆっくり掻き混ぜながら、沸騰する直前の温度で20分加熱しました。素材の持ち味を大切にするため、沸騰はさせません。とろとろトロ火です。


その間にスリゴマ作り。
「ゴマある?」
「これでいい?」
煎りゴマがありました。大さじ1ほどを小型のすり鉢ですり潰します。これも子供がやってくれました。私は鉢を押さえる係です。加熱が終わって火から下ろした鍋の中にスリゴマを加えます。すり鉢にこびりついた分は少量の清酒を入れて溶かし込み、それも一緒に鍋の中へ。


さて、お味見。
「うーん、大人の味覚だと、あとちょっと辛さと酸っぱさが欲しいかな、どう?」
「僕もそう思う」
「いよっ、大人〜」
何を使おうかと相談すると、子供が見つけてくれたのがコチュジャンでした。あと、レモンも買ってあるから入れてみようという子供の提案で早速実行。果汁は約1/4個分です。再びお味見。
「うまい!これはいける!」
「うん、大成功!!」
煮沸消毒した瓶に移し、さらにすっていない粒のままのゴマを大さじ1ほど振り入れて、粗熱が取れたら冷蔵庫へ。残ったレモンを搾り、ハチミツを入れて水で薄めて、氷を入れて乾杯しました。


翌日は、子供の友だち数人に、無事退院できたおじいちゃん(私の伯父)とお母さん(従兄の嫁さん)も加わって、場所は家の庭でしたが、賑やかな BBQになりました。お父さん(従兄)は仕事が休めないので、飲み物の差し入れ。ちゃんと私の分のビールもありました(さすが分かってらっしゃる!)。


タレは、「うめー、これほんとにお前が作ったのか?」と友だちにも大好評。楽しい夏の一日になりました。料理といっても、焼き肉のタレ作りは、化学実験の調合に似ています。混ぜる、加熱するといったことで変化していく味。この面白さにとても興味を示してくれて、次回は自分が素材と調合を考えてみたいと張り切っています。まだまだ当分「焼き肉House Laboratory」は続いていきそうです。


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