「今イエはこの話題で持ち切り?!〈我が家のホットニュース〉」を教えて下さい

#052 お題
今イエはこの話題で持ち切り?!〈我が家のホットニュース〉」を教えて下さい


“ルポ・タイトル”
「父がこの春、祝!勤続50年退職」
by ハザマ


実家の我が父、この3月末で勤続50年退職が決まりました。2月から、もっぱらこれが我が家の話題。まずは、お疲れ様と退職記念のお祝いではあります。何せ、学校を出てすぐ就職した会社に今日まで50年もの勤続です。定年を過ぎても顧問として在籍勤務、この1月には68歳を迎えました。本人は70歳まで!と意気込んでおりましたが、昨年の健康診断でちょっとした肺の不調が発覚したこともあり、この勤続50年を花として退職を決意したと知らせを受けたのでした。


ここでもいつも、父はバッチリ七三分けで生涯を通した人だと笑い話にしてきましたが、いざリタイアとなると胸がつまってしまいます。これまでの人生のほとんどを賭けたと言っていい大きなお役目を終えることになり、本人も家族も思っていた以上に感慨深い思いにふけってしまって、お祝いの気分よりさびしい気持ちが先でした。今日も母にご様子伺いの電話をしたのですが、やっぱり父は退職を決めてから何だか元気がないみたいと言っていました。


普段は大兄弟のおとんぼらしいお調子者振りを発揮している父ですが、一方で私は、努力の人と心底尊敬してきました。中学までに両親を亡くして兄たちに育てられ、働きながら夜学で高校を卒業してからは、就職した会社の専門である溶鉱炉開発を猛勉強したという父。結婚してからも、会社から帰ってきて冶金学や物理学や熱エネルギーの徹夜の勉強は続いていたと母は語ります。一流の技術者になるために、会社の仕事でこそ勉学するんだといって。当時数十人で立ち上がったばかりだった会社もどんどん成長して数百人を擁する企業になり、日本随一の溶鉱炉メーカーになりました。この会社の半世紀が父の誇りなのです。
いわゆる会社人間というよりは、生粋の技術者としての誇りがあったからこそ半世紀も休みなく仕事に打ち込むことが出来たのでしょう。


実家の父の部屋には技術書とこれまでに開発してきた溶鉱炉の資料や協会での研究ファイルが所狭しと並んでます。その中で、今の父の気持ちはいかばかりであろうかと思うと、察するにあまりあって…。
これまでは、「お父さん、いつか退職したら好きな釣りに毎日でも行けるね!」などと言って笑い合っていたものですが、この様子では、愛する会社を離れてしばらく傷心になるのではないかと、ちょっぴり心配です。


私は私で、これまで親孝行らしいことを何もしてこなかったことに思いをいたしながら、あぁこれから本当に恩返しをしていく歳月にしなければと、心に念じたことでした。
父もこれから3月終りにかけて、送別会や何やかやで忙しく過ごすことでしょう。4月になったらまずは実家の家族でのお祝いに感謝の贈り物を送って、私はこの夏の帰省で何か家族全員の特別なメモリアル・イベントを用意しようと思っています。ここまで本当にありがとう、と精一杯の気持ちをこめて!


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※今回の「いわし」ご投稿は3月11日(木)正午で終了とさせて頂きます。
※今回のピックアップ賞は3月12日(金)に「イエはてな」にて発表いたします。
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