「うららかな冬の日に日時計もどきで〈お日様と一緒の読書記録〉を付けてみる」by id:momokuri3


子供のころ外で遊んでいると、季節によってずいぶん影の長さが違うことを実感したと思います。先日ふと晴れた冬の日の影の長さに気付いて、そういえばずいぶん自分の影を見ていなかったなと気が付きました。
それまでは、お昼休みに外に出ても影は行き交う人とかぶさってしまい、冬は昼間でもこんなに影が長いんだという実感を得る機会がありませんでした。大切な季節感を一つ、見落としてしまっていました。
そこでやってみたのが日時計です。といってもただ窓際に紙を敷いて、棒を一本立てただけ。本当は、常に正確な時刻を指し示すためには、この棒は緯度に応じて傾けなければなりません。なぜって、地球は球体なのですから。この意味がよくわからない人は、図を書いたり、ミカンを地球に見立てて眺めたりしながら考えてみてください。ちょっとクイズみたいで、こういう考察も楽しいと思います。答えが見つかると、なぜ公園の日時計が三角定規や謎の飛行物体の尾翼みたいな形をしているのかの謎も解けると思います。
でも今回は時刻を知りたいのではなく、影の長さを実感して楽しみたいだけですから、ごく単純に火鉢で焼き芋を焼いた時に使ったアルミホイルで台を作り、それに棒を真っ直ぐ立てただけで済ませました。
窓際にこの即席日時計を置いて、傍らに椅子を置いて座りました。コーヒーを淹れ、手には文庫本を一冊。あとは本物の時計と鉛筆を一本。書ける物なら何でもいいですが、雰囲気的に木の鉛筆がいいですね。小学校の授業を思い出します。
まず棒を置いた紙に映る影の先端に印を付けて、そこに時刻を書き込みました。そして文庫本を一章読み、読み終えたらまた影の先端に印を付けて、時刻と読んだ章の題名を書き込んでいきました。そんなことを繰り返しながら区切りのよい所まで読み終えると、紙の上には読書中の私を見守っていてくれたお日様の軌跡が記録されました。棒の長さと影の長さから太陽の角度も計算出来ますが、今回はそんな面倒なことは無しにして、紙に日付と読んだ本の書名を記入して終わりにしました。
これを、春にも夏にも秋にもやってみたいと思うのです。観測の時刻はバラバラになるでしょうから、何の科学的資料にもなりません。でも、お日様に見守られながらの読書の記録としては楽しいと思いませんか。季節によって異なる影の様子を実感しながら、ちょっと少年時代の郷愁をそそるような本を読む。都会の中で固まってしまった心を溶きほぐす、なかなかすてきな休日のプランになると思うんです。
一応、棒の長さだけは一定にできるように、文庫本の縦の長さと同じにすることに決めました。これなら散歩の途中に古本屋に寄って公園で読むなんていう時でも、棒きれを拾って長さを合わせて地面に立てれば、イエでしているのとほぼ同じ条件で「お日様と一緒の読書記録」が取れます。同じ文庫本でも出版元によって若干サイズが違いますから、その時手にしていた本によって微妙に棒の長さは違ってしまいますが、細かいことは気にしません。
先日のいわしで読んでハッと気が付きましたが、2010年は「国民読書年」だったんですね。皆さんもぜひ、読書年にちなんだ読書計画を立ててみてください。私はこのお日様と一緒の読書で、この一年を過ごしてみたいと思います。


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