「簪コレクション」by id:vivisan


昔から着物を着て簪を挿した人にあこがれていたんですよね。実際に着るようになって、簪一本で髪をまとめることができるということを知ってから知らず知らずのうちに簪が増えていきました。
これができると、いつでもどこでも簪(もしくは箸)が一本あれば髪をまとめられるので、仕事中でもイエにいるときでも、だいたい簪でまとめています。
最初はお値段の安い樹脂製のものを求めていたのですが、私の髪は長くて少し多めなのか、一本挿しの練習をしているうちに、バキっと折れてしまうんですよね。気に入ったものが無残に折れてしまうのは忍びなくて、樹脂性のものは遠慮するようになりました。


簪っても縄文時代ごろからあったそうですね。古代の日本では、一本の細い棒に呪力が宿ると信じられていて、髪に挿すことで魔をはらうことができると考えられていました。
簪には耳かきみたいなのがついているのが多いんですが、耳かきの名残とも言われているようです。。
基本的には一本足のものと二本足のものがあって、基本的に髪をまとめるのに使えるのは一本足のものです。二本足のものでもできなくはないですが、モノがやわいので、私はまとめるときは一本で、二本のものは挿すのみとしてます。



材質は主に、樹脂、鼈甲、木、竹、角、銀などがあります。
飾りは、上の写真のように平打といって、平らになっているもの、玉簪といって、とんぼ玉や石などをかざりにしているもの、飾りを垂らしているものなどがあり、私は材質によって収納を分けています。
木は特につげのものが多いです。これはまず折れないということが前提条件ですが、つげの木はとても固いのです。そして静電気が起こりにくいということもメリットのひとつ。そして忘れてならないのは自然のものであること。樹脂製のものを挿しているときと自然のものを挿しているときとは挿した感覚が違います。使えば使うほど味がでてくる色になるというのもいいですね。なので木製はほぼ本つげのものが増えてきています。ダンナに始めてプレゼントしてもらったのもつげの簪ですし♪そんなワケで思い出も深いのです。
いろいろな種類があるため、TPOにわけてつけるようにしています。
上の写真のものは、人前で三味線をひくときなんかに。
下の写真のものは、ちょっとしたお出かけなんかに。


元々は古い着物箪笥に収納していましたが、数が増えてきてしまったことと、簪ごと移動したかったので、祖母の家にあった背の低い引き出しがいくつかついた小箪笥をもらって簪箪笥としました。それぞれの引き出しは材質によって分けています。引き出しの中にはお気に入りのやわらかい布を敷いて簪をねかして収納です。一番好きなのは、平打簪の中でも透かし彫りとよばれるタイプのもので、銀の簪が好きなのですが、彫金が趣味な友達の作品で、誕生日プレゼントとして作ってくれた透かし彫りの簪がめちゃくちゃお気に入りです。強度をあげるために棒の部分はステンレスにして、飾りの部分を銀で作ってくれました。心がこもっていて一番の宝です。
移動できることによって、着物と帯を決めるときにもすぐに取り出して選ぶことができるようになり、かなり便利になりました。
ふだんは和室のインテリアとしてこじんまりと鎮座しています。


ほかにも簪の種類として、舞妓さんなどがつけるつまみ簪というのがあります。絹や水引細工で作られたもので、前面につけていますが、これは季節によってつける簪を変えています。

・ 一月:「松竹梅」或いは「羽子板」「糸車」「寒菊」など。正月(京の花街は15日まで)は「稲穂と鳩」を舞妓は髷の右、芸妓は左につける。鶴亀などを添えることも。鳩の目を意中の人に書いてもらうと恋が成就すると伝えられている。
・ 二月:「梅」(蝶や結び文を添えることも)や他に節分のおばけに付ける「くす玉」「かざぐるま」などもある。(他に水仙を挿すこともある)
・ 三月:「菜の花」(蝶を添えることも) 他に「水仙」「桃」「牡丹」
・ 四月:「桜」 他に「五郎蝶」
・ 五月:「藤」 他に「あやめ」
・ 六月:「柳(撫子の花が付いている)」 他に「紫陽花」
・ 七月:「団扇」祇園祭の期間(の内の7月10日頃〜24日)に付ける「お祭り」
・ 八月:「ススキ」 他に「朝顔
・ 九月:「桔梗」 他に「萩」
・ 十月:「菊」
・ 十一月:「紅葉」 他に「いちょう」
・ 十二月:「まねき」(歌舞伎役者などの名前を記す木の看板)(これに「餅花」の飾りが付いていることも)
Wikipediaより−


さすがに私の年で、これをつけるのはためられるんですが、最近造花を簪にするなんちゃって簪を作っているんですよね。舞妓さんがつけるものと比べるととても作品とはいえないようなものですが、これを月ごとに飾ることで四季を感じることができるかもしれない!と思いました。



着物の場合、季節を少し先取りしたものが粋といわれています。なので、少し早めの時期に飾ります。飾るのは立体額の小さいものを購入しました。
こうやって飾っておくことで、四季を感じられるようになりますし、着物を着るときにも便利。単体の簪だけでも存在感はありますが、立体の額にいれると、ちょっとした和室のインテリアとして部屋を彩ってくれるようになりました。これにはびっくりです。
今年はほおずきに挑戦したいとおもいます。ほおずきだと垂らすかたちになると思いますが。今から腕がなりますw
またありがたいことに、私がコレクションしている透かし彫りの簪は植物が多いのです。椿とか菊とか。これも飾ってあげることによって、より昔の職人さんのすばらしさを身近に感じることができるようになりました。
簪は私にとって、ただ髪を飾るものではなく、イエの中で四季を感じることができるひとつのツールとしてなくてはならないものとなっています。
そして自然のものからできた簪はこれからもコレクションしていきたいと思っています。


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