「庭に古墳を作って思い出を埋めた弟」by id:MINT


以前、はてなに「あなたの家に古墳はありますか?」という質問がありました。
http://q.hatena.ne.jp/1123828411
家に古墳があったら面白いなと思い、弟に、
「ねぇ、古墳作ってよ」
と冗談で言ってみたら、弟は真顔で
「俺もちょうど作ろうと思っていたところだ」
と言って庭に出て行きました。季節は夏の暑い盛りでしたが、外は雨。弟は濡れながら庭の土を掘り返しはじめました。
「冗談だよぅ、濡れるから家に入ろう」
と言っても、今すぐ作るんだと言って聞きません。せめて傘を差し掛けようとしましたが、一人でないと作れないから姉ちゃんこそ中に入って待っててくれと言われてしまいました。私、怒らせるようなこと言っちゃったのかな、こんな雨の日に冗談が過ぎちゃったのかなと、とても不安になってしまいました。
お湯を沸かし、すぐお茶が入れられる準備をして、弟の古墳作りが終わるのを待ちました。バタンとドアが開く音がしたのでタオルを持って玄関に行くと、弟の目が少し赤くなっているように見えました。顔を濡らしているのは涙なのか雨水なのか…。タオルを渡すと、弟はそれで顔を拭って、そのまましばらくタオルに顔をうずめていました。
「ごめんね、無理言って」
弟はまだタオルに顔をうずめたままでした。でもしばらくしてタオルを外して顔を上げると、その顔はとてもいい笑顔に変わっていました。
「思い出を葬ってきたんだ、これでサッパリした」
弟はそう言ってガシャガシャと頭を拭くと、着替えてくると言って階段を上がっていきました。
「お茶入れて待ってるからね」
「おぅサンキュー」
あとで聞いたら、ふられた彼女からもらった年賀状を埋めていたとのこと。ほかの思い出は思い切って処分したのに、年賀状だけ忘れていて、それが見つかってからというもの再び気持ちの整理が付かなくなっていた、そんな時「古墳作ってよ」と言われて、これが思い出を葬って気持ちをふっ切るチャンスだと思ったのだそうです。庭に出てみると、幅30センチくらいの前方後円墳ができていました。


こんな話が笑い話としてできるのは、今は弟に、とてもいい彼女がいてくれるから。うちの弟はこんなふうに恋には一途なタイプです。ほんと、いいヤツなんで、末長くよろしくね。ちなみに後日、その古墳の上にビンボウ草が生えてきました。弟はそれを見て、腹いてぇと大爆笑。ヤケッパチ笑いではない本当の気持ちのいい大笑いでした。うんうん。うちの弟はこんなふうに、気持ちのサッパリしたヤツでもあるんです。きっと幸せになれよ。姉ちゃんは祈ってるよ♪


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