「ことのは手帳で言葉に込められた心を知る」by id:Fuel

「ことのは手帖」とは、心に触れた言葉の数々を書きとめておくノートです。「紙と鉛筆があれば、心の情景を書きとめておくことができる」――。これは短歌を勧める祖母と母から、いつも言われていたことでした。ただ、わたしは情報収集はできても整理が苦手。そこで自分は紙片ではなくノートにしてみたわけです。
気になる言葉は、いたるところに落ちています。新聞での一言、雑誌での表現、他の人の詠んだ短歌の節など。海外暮らしなので、日本語に触れる機会はほとんどが文字。音で聞くことがないので、その分、目から入る視覚イメージで感性に響いた言葉をどんどん拾い留めます。こうして集めた言葉や言い回し、フレーズを1か月に一度眺めなおし、自分の気持ちに問いかけ、短歌七首にして投稿するのです。
(『ことのは手帖』 id:asukabさん)
http://q.hatena.ne.jp/1214973884/173331/#i173331


私は短歌などは詠めませんが、言葉の大切さは日々感じていました。日頃何気なく使っている言葉の中に、長い歴史の中で積み重ねられてきたたくさんの人々の暮らしが隠されています。


たとえば、こんなことを教えてくれたいわしがありました。

虚礼廃止ということが言われて久しくなります。本来のお中元はちゃんとした心のこもった贈り物であり、虚礼などではなかったと思うのですが、挨拶や感謝の言葉を交わすこともなく物だけが届く現代のお中元は、虚礼と言われても仕方がありませんね。
(中略)
禮(礼の旧字)とは、祭祀に使う机をかたどった「示」に、形よく供え物をが並べられた様子を表す「豊」が合体した文字です。神様への真心を込めた供え物、それが「礼」の字の本義です。真心がこもっていなければ物だけで、礼にはなりません。
(『お中元の虚礼を「実礼」に変える』 id:C2H5OHさん)
http://q.hatena.ne.jp/1245819281/222639/#i222639


礼という言葉は神様への供え物から生まれた言葉だったという気付きは、お辞儀の礼、礼儀の礼、ありがとうのお礼、その他様々な、日頃形としてしか受けとめていなかった「礼」に対する意識を変えてくれました。
またこちらのいわしからは、室礼(しつらい)という言葉の意味も教えてもらいました。設置の「設」の字は「設え」(しつらえ)とも読みますが、これも室礼と同じ意味があったのかと想像しています。
『部屋にも真心、《室礼(しつらい)》の心』 id:TomCatさん
http://q.hatena.ne.jp/1252471828/232224/#i232224


また、別の所では、今まで意味不明だった「立春大吉」のお札の意味を教えてくれるいわしもありました。これも目からウロコ。

立春の朝にこれを書いて貼っておくと、一年間災厄から守られるというおまじないです。神社からもらってくるとかではなく、自分で書いて貼ってもいいので、皆さんもぜひやってみてくださいね。
(中略)
墨が摺れたら書いていきますが、字をよーく見てください。




ね、左右対称な文字ばかりでできているでしょう。この左右の対称さが吉を呼び厄をよけると言われています
(『立春大吉id:MINTさん)
http://q.hatena.ne.jp/1233118479/201709/#i201709


あのお札にはそんな秘密が!縁起のよい意味を持ち、なおかつ左右対称の言葉。いったい誰が編み出したのでしょう。


「美しい」についての次の書き込みも、心に深く残りました。

玄関から、新しく豊かなものがいっぱい入ってきますように、と考えたら、もう一つ好きな日本語の語源を思い出しました。「美しい」という言葉です。美しいという言葉は、もともと「空(うつ)」なるところに「奇(く)しい」ものがやってくる、という考えから生まれたという説です。
(中略)
私はこの「美しい」の語源を前から大切にしていて、新しく美しいものが入ってくるように、本棚や棚もぎゅうぎゅうにせず常に空いたスペースを作っておいたり、頭の中も古いものでいっぱいにせず出来るだけ新しいものが入ってくる余裕を持てるように心掛けています。ちなみに、新しいものというのは新品とかいう意味ではなくて、自分にとって新しいもの、古いというより美しいもののことを想っています。
(『玄関に大きな空の器を置いておきます』 ハザマさん)
http://d.hatena.ne.jp/ie-ha-te-na/20071128#SapriF


語源の説だけでなく、本棚も頭の中もギュウギュウ詰めにしないで余裕を作っておく、それが心や暮らしを美しく楽しくしていく秘訣なんだという考え方は、その後の私の毎日に大きな影響を与えてくれました。


そのほか、イエはてなには、心の琴線に触れる様々な言葉がたくさんあります。もちろんイエはてな以外にも、言葉のある所ならどこででも、新たな発見や感動が生まれます。そういう言葉を、気が付いた都度メモしていくのが「ことのは手帳」。ここに言葉が貯まっていくにつれて、毎日が楽しく、豊かに変わっていきます。サプリ手帳の言葉特集と言えるでしょう。


私はこのための手帳として、次のような物を作って使っています。


表紙は百円ショップで買った手帳の物。中身はチラシの裏紙です。いっぱい書いて紙が無くなったら、すぐ新しい裏紙メモ帳に差し替えます。こうして紙を惜しまずどんどん書いていくことがこの手帳の秘訣。そのためには、裏紙を使うに限ります。
なお、こうした文房具の自作の習慣は、
『袋とフリーペーパーなどでスクラップブック』 id:Lady_Cinnamonさん
http://q.hatena.ne.jp/1211777751/167108/#i167108
などの書き込みがいい刺激と参考になっています。


貯まったメモには表紙を付けて、書き始めと書き終わりの日付を転記して棚に並べています。書くだけでなく、時々読み返していくと、さらに新しい発見が色々生まれます。
言葉は暮らしの基本のひとつ。言葉には「今日をちょっと楽しく、特別にする」力があります。そんな言葉たちにインスピレーションを得て、私なりの新しいイエコトを作っていけたらいいなと思っています。


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