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「pH値実験からカラフルデザート作り」by id:Lady_Cinnamon


 子供の頃、理科の実験でpHを測ったりしませんでしたか?酸性[H+]とか中性、アルカリ性[OH−]とかを調べる実験です。実験室で学んだpH測定は、危険な化学物質も使用していました。そこで、今回のSummer House Laboratory 2009、「楽しいアイデアと創意で暮らしをつくろう!」のベースプランは次のようにしました。

私たちの身近な食品などを使って「安全に楽しめる化学実験」にトライ。
実験で得られた結果を、食卓に応用してみる「デザート作り」。


 実験1:身近にあるモノのpH値を調べよう.
 実験1では[H+]などの正確な定量を目的としません。手軽に各材料がどのようなpH値、つまりおおよそ酸性よりかアルカリ性よりかを調べます。


器具・紙薬:綺麗に洗った透明卵パック(又はペットボトルのキャップ10個位)
       pH試験紙(pH1〜14まで測れるタイプ)、あればスポイト

      

PH試験紙 SRタイプ 標準型 1-14:1.0/2.0 2600-100A

PH試験紙 SRタイプ 標準型 1-14:1.0/2.0 2600-100A


方法:各材料の液体・抽出物を容器に注ぎ、pH試験紙に液体を吸わせるだけ。


材料(1)レモン汁、食酢、シソ、牛乳、石けん水
材料(2)紅茶、ウーロン茶、緑茶
材料(3)お茶に使われる各種のハーブも試しました
     ハイビスカス、ラベンダー、ローズレッド、カモミール、マローブルー
     ※シソ・お茶・ハーブは煮出した抽出液。また我が家の水道水はpH6.5。


結果1−(1)

 結果1−(1)の材料は、理科の実験などでも紹介されている例を中心に集めました。
 >http://www.horiba.com/jp/process-environmental/features/water-qu...
 各pHは、レモン汁pH2、食酢pH3、シソ抽出液pH5、牛乳pH7、石けん水pH10と石けん以外は酸性よりの結果が、資料同様に得られました。意外なこととして、レモン汁はかなり強い酸であること。食品でもシソが酸性よりで、牛乳が中性だったことでしょうか。 よく胃酸過多の人が牛乳を飲まれますが、胃粘膜を守るタンパク質の補充だけでなく、胃酸に酸を加えない食品としても合理的なのが分かります。他にも多くの食品がありますので、興味のあるものは試してみてくださいね。


結果1−(2)

 結果1−(2)はお茶類でも、発酵の度合いでpHが異なるという資料がありましたので、試しに実験してみました。
 >http://www.horiba.com/jp/process-environmental/features/water-quality/the-story-of-ph/facts-about-ph-values/
 目視で見る限り、紅茶がpH4、ウーロン茶と緑茶はpH5程度と、明確な違いが得られませんでした。
 推測の域を出ませんが、今回使った緑茶が新茶でない、つまり若干は発酵していた可能性もあります。また、各お茶にはかなり多数の茶葉があります。その選び方によって、pHの違いも鮮明に出るかもしれません。


結果1−(3)

 結果1−(3)は(2)の延長で、カラフルで香り豊かなハーブ類を調べました。酸味のあるハイビスカスは、はっきりと強酸性でpH1。ローズレッド、ラベンダー、マローブルーはpH5で、味も酸味はちょっと強めなくらい。カモミールティはまろやかな味ですが、若干酸性よりでpH6.5程度になりました。
 さて、マローブルーは理科の実験でも使われるハーブで、酸やアルカリを入れることで、色が変わり試薬にもなります。入れたての時は青ですが、時間が立つと青紫色になるので水色の変化に注意が要ります。応用編として、マローブルーに酸やアルカリを加え、どのように発色するかの実験も面白いですよ。
 >http://www.1101.com/kasoken/2003-09-12.html


実験2:プラスαでマジックカラー作り.
 実験2では実験1で使った材料を基に、抽出液にプラスαをしてpH値と色の変化をみていきます。材料には実験1にハチミツを加えています。 


例1 シソ抽出液+食酢
例2 紅茶+レモン汁
例2 紅茶+ハチミツ
例3 マローブルー+レモン汁


 さて、どんな変化が起こるでしょうか。どの例も天然の食品ですので、まぜ合わせて飲んでも大丈夫ですよ。※写真では例1にクエン酸とありますが、食酢の間違いです。

例1の結果 シソ抽出液+食酢 = 赤黒⇒ワインレッド (pH2)
例2の結果 紅茶+レモン汁 =  紅茶色⇒薄い紅茶色 (pH2)
例2の結果 紅茶+ハチミツ =  紅茶色⇒黒めの紅茶色(pH4)
例3の結果 マローブルー+レモン汁 = ブルー⇒ピンク(pH2)


 実験2の解説をしていきます。まず、pHの変化ですが酢とレモン汁を入れたものは、色の変化とともに強酸性になりました。一方、紅茶とハチミツは水食変化があっても、pHはほぼ同じ4でした。


 水色の変化について。例1のシソと例3のマローブルーですが、このハーブにはアントシアニン系の色素が入っています。アントシアニンはpHの変化によって色が変わる色素。よって、酢やレモン汁といった酸性の液体などに反応し、色が変化します。他にも紫キャベツやナス、ブルーベリーにアントシアニンが含まれています。
  >http://www.kiriya-chem.co.jp/q&a/q07.html
 例2の結果の一つ目。レモン汁を加えて色が薄くなったメカニズムは、アントシアニンと似た物質、テラフラビンに酸が影響しています。
  >http://www.kiriya-chem.co.jp/q&a/q12.html
 一方、紅茶にハチミツを加えて黒っぽくなった方は、メカニズムが異なります。原因はハチミツ内の鉄分が、紅茶のタンニンという物質に結合したためです。なお、水道水でも鉄分が多い場合、紅茶を入れると黒っぽい色になります。
  >http://www.kurashi.pref.saitama.lg.jp/kurashi/chishiki/colum23.html


 応用:マジックカラードリンクを使って、デザート作り!
 実験2で得られた結果を応用して、天然のカラフルデザートを作りましょう☆


例1:シソジュース+シソ味かき氷シロップ およそ900ml
材料:シソ3〜5束かボウル一杯
   酢の代わりにクエン酸大さじ3杯(癖のない酸)
   砂糖200g
   水900ml位
道具:ザル・ボウル・漏斗・ジュース濃縮液を入れるワイン瓶など


1.鍋にワイン瓶一杯分の水を入れ、お湯を沸かす。
2.お湯が沸いたらシソを投入し、お湯に浸るように箸で混ぜる。
3.15分ほどで、次のように黒っぽい赤になる。
4.ザル・ボウルにあけ、シソと液を分ける。
5.液を鍋に戻し、砂糖を加えてひと煮立ちさせる(暗い色合い)。
6.クエン酸(またはお酢)を入れると、鮮やかなワイン色になる↓

最後に味見をして、砂糖とクエン酸で調節。ドリンク用は甘さ控えめ。かき氷用はお好みで、砂糖をさらに追加して下さい。シソと言う割には癖のないお味ですよ。

例2:紅茶の3カラーゼリー  4個分
材料:紅茶   2g×10パック
   ゼラチン 5g×7パック
   レモン汁(ポッカレモンでも良い)
   ハチミツ 100g
   砂糖   大さじ4杯
   ミント  適量
   レモン  1つ
道具:ゼリーを入れる透明な器4つ、ボウル、タッパー


1.粉ゼラチンを水でふやかす。
2.お湯が沸いたらティーバック4つを長めに浸す
(鉄分と反応させるため、タンニンを多めに抽出する)。
3.ハチミツを入れる(紅茶が黒っぽくなる)↓

4.ハチミツ味にゼラチンを入れ溶かし、氷水でボウルを冷やす。
5.ハチミツゼリーに、とろみが出てきたら器の1/3まで入れ冷蔵保存。


6.紅茶4パックと砂糖を使って、普通の紅茶ゼリーをジュレ状にボウルに作る。
7.紅茶2パック+ポッカレモン多めで、色の薄い紅茶を作る↓

8.レモンティ味は水分が少なめなので、タッパーで固めになるまで冷やす。
9.ハチミツゼリーが固まったら、紅茶ジュレカップ2/3まで入れる。
10.レモンティゼリーが固まったら、サイコロ状にカットして器に盛る。
11.4つにカットしたレモンとミントをのせて出来上がり。

 何とか3層には分けられましたが、レモンティゼリーはもっと薄くしたかったです。また、2層目のレギュラー紅茶の色が混濁してしまいました。これは短時間に紅茶の温度を下げたため、クリームダウン(クリーミング現象)というのが生じたせいです。
 もっとクリアに紅茶の色を出すコツとして、粉ゼラチンでなく板ゼラチンを使うことが一つ。そして、クリームダウンしないようゆっくり冷ましていくことです。


例3:フルーツのマローブルーゼリー添え  3皿分
材料:マローブルー 2g×6パック
   板ゼラチン  1.5g×10枚
   多めのレモン汁(ポッカレモンでも良い)
   カルピス   200cc
   砂糖     大さじ5
   好みのフルーツ:巨峰・キウイ・リンゴなど
道具:ゼリーを入れるプレート(皿)、ボウル、タッパー


1.粉ゼラチンを水でふやかす。
2.お湯が沸いたらマローブルーティーを入れる。
3.ハーブを除いて、砂糖大さじ1、レモン汁、カルピスを加えて煮る。
4.ゼラチンを入れ、氷水でボウルを冷やす(ピンク色)↓

5.とろみが出てきたらタッパーに入れ、冷蔵保存。
6.同様の過程で、普通のマローブルーゼリーを作る。砂糖は大さじ2(青紫色)。

7.この間に、果物のカットをする。
8.ゼリーが固まったら、マローブルーゼリーを細かくカットしてプレートにしき、カルピス入りゼリー、カットしたフルーツを盛る。


※青紫色の時のマローブルーは不安定な状態です。ブルーゼリーを作成中、温度差・時間経過で透明になってしまったので別作戦をとりました。
 マローブルーで水出しハーブティを作ります。そうすると煮出した時より、鮮明な青になります。砂糖大さじ2をゆっくり溶かして、マローブルーティ・シロップとしてお皿に少量注ぐと、淡い青色がしばし楽しめます。 

 他の食品でも、化学反応で色が異なるものもあります。化学実験から入った今回のルポタージュ。錬金術や科学というのは、台所から始まったという逸話もあります。科学の実験から創意工夫して、オリジナルのカラーデザートやレシピを考案してみてください♪
 以上で、身近な食品などのpH試験から、食品の色の変化の紹介、および応用として、同じ原料(シソ・紅茶・マローブルー)から作れる数種のカラーデザートの紹介を終わります。


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