「ワイン用のデキャンタ」by id:momokuri3


ワインを移し替えるための容器です。元の容器から移すという意味では日本酒の徳利にも似ていますが、ワインの場合は、
・澱と澄んだ上澄みを分けるため
・あるいはワインを空気に触れさせて強制的な熟成を促進させるため
に使われます。特に、まだ若く持ち味が固く閉ざされているようなワインをデキャンタに移すことで“開いてやる”のは、ワインの面白さのひとつとして特筆です。
この技法をデキャンタージュと言い、具体的なやり方はワインの状態によって様々です。デキャンタージュはワインをわざと酸化させる一種の化学実験のような行為ですから、目的とする反応を得るためには、容器の形状などにも気を配る必要があります。
そこで、デキャンタには、それは様々な大きさや形の物が存在します。ベーシックなところではフラスコのような形の物。水差しのような形の物も馴染みが深いかと思います。そのほか、鶴のように長い首を持つ物から、まるで前衛芸術のオブジェのような不思議な形の物まで、本当に様々なデキャンタが存在します。
素材も様々。ソーダ硝子製もあればクリスタル硝子製もあり、手作りの高級品もあれば、機械作りの普及品もあります。そんな中で私が持っているのは、形はベーシックですが、口吹きクリスタル硝子のハンドメイド品。オーストリアのグラスメーカー、リーデル社の製品です。
リーデルはグラスによってワインの個性を引き出す、形状によって舌に伝わる味わいが変わってくるという考え方を持ってグラスを作っているメーカーで、ワインのタイプの数だけワイングラスの数がある、といった独特のラインナップを特徴とするメーカーです。
もっともグラスによって味わいが変わるなどということは有り得ないと非難する学者もいて、あちこちで議論になっていたりするようですが、私はグラスメーカーの立場でワインの奥深さを追求していきたいという、同社のロマンに共鳴しています。そしていつかここの製品を持ちたいと思っていました。そんな私の目の前に同社のデキャンタが現れたら、そしてそれを一度手に取ってしまったら、もう欲しくて欲しくてたまらなくなってしまいます。高い買い物でした。三ヶ月以上迷いました。通るはずがない仕事の企画が通ったら自分へのご褒美に買おうと心に決めました。そして、奇跡的にご褒美獲得!今私の手元に鎮座しています。美しいフォルムです。機能美に満ちたこのデキャンタは、ワインを離れて独立したアートとして存在してもおかしくない品だと思います。これが私の「一点豪華」アイテムです。


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