「中華街にある新しい縁結びの名所」by id:CandyPot


横浜中華街の媽祖廟といえば、船を守る道教の女神様を祭るところですが、ここに新しいお祭りが加わりました。今春新たにまつられた「月下老人」にちなんだ縁結びのお祭りです。
中国ではお仲人さんの代名詞ともされる「月下老人」の伝説とは、次のようにお話なのだそうです。
時代は唐のころ。韋固(いこ)という名の青年が旅をしていました。彼は宋城という町に宿を取りました。夜、町を散歩をしていると、一人の老人が月明かりの下で本を広げています。横には大きな布の袋があって、中には赤い糸がいっぱい入っていました。
こんなところで何を夢中になって読んでいるんだろう、そしてあの袋の中の糸は何だろう。韋固は不思議な老人に興味津々で声をかけました。するとおじいさんは答えました。
「これはこの世の男女の縁組み帖じゃ、そして袋の中の赤い糸は夫婦になる男女を結びつける糸じゃ」
その赤い糸で足首を結び合わされた男女は、どんなに遠く離れても、どんなに身分が違っても、たとえ仇同士だったとしても、必ず結ばれて夫婦になると言うのです。
韋固は老人にからかわれたと思いました。でもとても楽しいお話なので、もっと話が聞きたくなって、市場のほうに向かう老人の後をついて行くことにしたのでした。
市場に着くと向こうから、三歳くらいの小さな女の子を抱いた目の不自由な女性がやって来ました。老人は韋固に「この小さな女の子があなたの未来のお嫁さんじゃ」と言い、二人の足首に赤い糸を結びつけたのです。
それから14年。韋固は武将として手柄を立て、高官の娘との縁組みが決まりました。ところがなんとその娘こそが、市場で目の不自由な女性に抱かれていた女の子だったということが分かったのです。
この間のいきさつにはちょっと血生臭い話が付きまといますので省略しますが、娘の体に残るある傷跡が、14年前の出来事と結びついたのです。
とにかくこの不思議な運命に、韋固はとても驚きました。そして男女の縁は神様が決めるものなんだと固く信じて、この娘を生涯愛し続けて幸せに暮らしたということです。
やがてこの話が宋城まで伝わると、人々は韋固が宿泊していた宿を「定婚店」と呼び、韋固が出会った老人を「月下老人」と呼んで、この不思議なお話を語り継いでいきました。
この「赤い糸」伝説の元にもなっている「月下老人」が、横浜中華街の媽祖廟に祭られています。恋愛や結婚だけでなく、学校や会社との縁も結んでくれるらしいですから、進学就職活動をしている人にもよさそうです。


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