「春のグリーンツーリズム・農村山道普請ボランティアツアー」by id:TomCat


ばっきゅる〜ん!! 今年のGWは、とある農山村に行って参りました!! 過去数回訪れてお世話になった、住人のほぼ全員が専業農家という所。日本の原風景のような素晴らしい集落です。しかし激しい過疎化に見舞われて、今では空き家だけでなく、「空き田んぼ」「空き畑」も目立つようになっています。


とりわけ困るのが、農道整備です。雪深い農山村では、この時期からやっと、山肌を縫うように走る農道が機能し始めます。しかし、雪の下から顔を出した山道は、雪と共に崩れた土砂や枯れ木や枯れ草などが大量に堆積し、ただでさえ狭い道が、大変危険な状態になっています。それを人海戦術で除去して耕耘機が安全に通れる道にしていく「みちぶしん」。これが田植えを目前に控えたこの時期の、欠かせない仕事だというのです。しかし、その人数が足りません。


そこで、今年のGWは、食と緑を担う農業のお手伝い。夢の農園作りに向けた自主研修も兼ねて、農村の春を体験し学びつつ「みちぶしん」のお手伝いをするツアーをやってきたというわけです。


さて、到着した現地は、まさに春真っ盛りでした。雪深く春の遅いこの場所では、5月だというのにまだ遅咲きの桜が咲いています。梅もまだ一部咲き残っていますし、ツツジもそろそろ固い蕾をほころばせ始めています。春の遅い地域では、色んな花がいっぺんに咲くんですね。地元の方の軽トラに乗せて頂き山道を進んで行くと、路肩にずらりと並んだ黄色いスイセンが、まるで歓迎の行列のように出迎えてくれました。


山を登っていくと、開けた見晴らしのいい場所に着きました。下を眺めると、斜面を段々畑のように開墾して水を引いて田んぼにした、いわゆる棚田が広がります。なんと美しい景色でしょう。しかしその田んぼにアクセスする農道に注目してみると、道幅はリヤカーが1台やっと通れる程度。もちろんガードレールなどはなく、もし転落したら行き着く先は谷底といった危険な道が続いています。そこを整備して、耕耘機が安心して通れるようにしていくこと。これは本当に急務だと、「みちぶしん」の必要性が理解できました。


さて、翌日は早朝から集合です。農機具を積んだ軽トラや耕耘機が集まってきます。全体を5つの組に分けて、それぞれ指示された担当地域に向かいました。


みんなで農機具を駆使して、ひたすら崩れた土砂や落ち葉などを除去しながら進みます。ほとんどの人達が70歳以上とのことでしたが、いやー、皆さん元気一杯ですよ。そして皆さんホントに道具の使い方に長けていらっしゃいます。それに引き替えこの私は、都会モン丸出しの足手まとい状態。申し訳ない・・・・。


作業が一段落すると一服のお時間です。といっても誰もタバコは吸いません。それもそのはず。この集落にはコンビニも自販機も無いんです。タバコを買うには、キツイ山道を往復して、ふもとの商店まで行かなければなりません。そんな苦労をして煙を吸うより、ここには見渡す限りの緑と、うまい空気があります。草の上に腰を掛けて、汗ばんだ肌に緑の風を受けて楽しむ。それだけで癒されるんですよね。それが何よりの「一服」というわけです。


さあ、作業再開です。
「おーい、鎌持ってきて」
「はーい」
「ほら、あれ」


指で示された先を見ると、立派な山ウドがワサワサと群生していました。


「その鎌貸すから採ってきていいよ」


うひゃ〜。作業中に一人だけ山菜採りでは申し訳ないですし、だいいち山ウドは農協に出荷できる「村の資源」のはずです。いいんですかと聞くと、道普請に参加したらもう集落の一員だ、この山一帯自分の家の庭と同じだよとのありがたいお言葉です。


ご厚意に甘えて、ちょいと作業を離れて山ウド採りに突入させてもらうことにしました。けっこうキツイ斜面を登って行きます。足場をきちんと見定めろ、そこの蔓に掴まって、必ず手足のうち3本は蔓や足場にしっかり付けておくんだぞなどと、皆さんに丁寧なレクチャーをしてもらいました。こうして、山の恵みを楽しませつつ、山村で生きるスキルを身につけさせてくれる皆さんのご厚意。感動です。もちろん収穫も山のよう。この素敵なおみやげにも感動でしたw


山ウド採りの最中、色んな植物に出会いました。たとえばアケビのツル。
「これ、アケビですよねー」
「そうだよ、秋には実るよ」
見上げると、クルミの木が新緑の芽吹きを始めています。
「この木はクルミですよねー?」
「リスが食べにやってくるよ」
「人間は食べないんですか?」
「このへんでは秋の木の実というと銀杏だね、銀杏はすごい量が採れるよ」


ここは四季を通じて、本当に豊かな山のようです。また秋にも来たくなりました。いえ、きっとまた来ます。今度は稲刈りボランティアですね。


おっと、いつまでも遊んではいられません。再び作業に合流して、道普請に汗を流しました。だんだん仕事の要領が飲み込めてきて、道具の使い方にも慣れてきましたから、ここからはガンガン働きましたよー。ほんとですw


田んぼの畦の草刈りなども行いました。マムシ対策です。マムシの多い場所では、安全のための草刈りが欠かせないんですよね。しかし、最近はこうして手作業の草刈りをする代わりに、除草剤を使って草を枯らすケースが増えてきたんだそうです。


それが自然に対して深刻な影響を与えることは知っている。出来れば使いたくないとも思っている。でも高齢者が少人数で農業をやっていこうとしたら、ある程度は薬に頼らないわけにいかないんだよと。地元の方はそうおっしゃいます。


他の農薬や化学肥料にしても同じです。そういう物を使わずに生産していけば、有機農産物などの認定を受けて高く出荷することが出来るようになる。しかし、人手のない村でそれは無理だと。八十八の手間がかかると言われる米にかける人手を少しでも減らす。それが薬なんだと。そう言うんことなんです。


ここですよ、皆さん。ここに、私達が農村を支えていく重大な意義があるんです。地方の産業を支えていくというだけでなく、貴重な自然を守っていくためにも、農山村を過疎にしてしまってはいけないんです。少なくとも、仕事の手を減らしてはいけません。


山林を守る「草刈り十字軍」というのがあります。それと同じように、皆さんも、農山村の田んぼや畑のお手伝いに行ってみませんか。難しい農業のスキルは要りません。草刈りだけでも歓迎されると思います。レジャーの山菜採りにでもいくつもりで、その楽しみの矛先をちょっと変えての農山村応援団。みんなが始めたら、どんなに日本の農業が振興されることでしょう。そして、どんなに貴重な自然が守られることでしょう。


休暇を自然一杯の野山で過ごしつつ、適度に体を動かして健康的な一日を楽しむ。そして日本を支える農業という産業の一端に触れて学ぶ。ついでに野山の恵みのおみやげも(笑)。もうホント、最高です。


行ってみたいけど、農村に知り合いなんていないし、という人も多いと思います。でも、親戚の知り合いとか、同級生の親戚とか、色んなつてをたどっていけば、誰でも「あなたの力を待っている」と言ってもらえる場所にたどり着けると思います。


以上、山村の春を体験しつつ農業を応援するこんなツアーが、私の今シーズンのグリーン・アクションでした。


ところで、道普請の作業途中に、枯れ草の中で芽を吹いていた種を見つけました。これは何だろう・・・・。おそらくナラの種だろうと思います。ドングリの中身ですね。記念にもらってきました。


育つかな。植えてみました。


育ったらこれ、いつかきっと実現するであろう「イエはてなファミリーが集える場所」に植えたいなあと思います。「Green Week Action 2009」の記念樹です。


ナラは古くはハハソ(柞)とも呼ばれて親しまれてきた、各地の里山の代表的な樹木でした。この記念樹が実を付けるようになったら、その実をお分けして、みんなのイエや街にも植えて欲しいなあ、なんて思います。それらが大きな木になっていく頃、私達のイエはてなも、どんなに大きく育っていることでしょう。少なくとも百年は続くイエはてな、最低でも百回は続けていく「Green Week Action」を目指して、この芽と共に、新たな歩みのスタートです!!


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