「GW裏庭緑化計画」by id:tough


日当たりが悪く面積も狭く、普段は忘れ去られているようなスペース、家の裏。そこを「暮らしと地球に生きる緑」の場所に変えることができたらどんなにいいでしょう。そこで私はGWを使って、裏庭緑化計画に挑戦してみることにしました。
しかし裏庭といえども通路は確保される必要がありますから、実質的に使える面積はごくわずかです。また日当たりが悪い場所ですから、花壇などを作るのは無理があります。そんな場所で何ができるかと考えて、思いついたのが坪庭風のレイアウトでした。坪庭には樹木や灯籠や水鉢など様々な物が配置されますが、本当の坪庭の主役は空間です。何もない空間こそが坪庭の美しさです。その空間に歩きやすさの配慮が加われば、これで通路問題はクリアです。
植える木を考えました。日陰になりがちの場所なので、ある程度耐陰性のある樹木が必要です。
モミジはぜひほしいと思いました。しかし調べてみると、モミジは日陰には強いものの、日照不足だと美しい紅葉は望めないとのことでした。そこでモミジには、裏庭なりに午後から日暮れまではそこそこ日が当たる、北西の角の一等地(w)を割り当ててやることにしました。もっとも背が低いうちは塀に遮られて日陰になりがちなので、早く大きくなってもらうことにします。
次に選んだのはマンリョウです。日陰でもちゃんと実をつけるという耐陰性に期待しました。深い緑の葉と鮮やかな赤い実の美しさが魅力です。育ちが遅く大きくなるまでに時間がかかるらしいですが、それは剪定の必要がほとんど無いということですから、かえって好都合です。
下草としてはリュウノヒゲなどを使ってみたかったのですが、いくら耐陰性があるといっても、裏庭の下草では日陰になりすぎて育ちそうになかったのであきらめて、ここは裏庭らしく苔で行ってみることにしました。苔はいわしで何度か育て方が説明されていたアラハシラガゴケと思われる苔が採取できたので、それを使ってみることにしました。
あとは適当なかっこいい石がいくつかあれば、それなりに格好が付きそうです。石は自然の物が拾えれば安上がりと考えましたが、なかなかいい場所が見つからなかったので、諦めてホームセンターで購入することにしました。ちょっとお金を出せば、いい石がよりどりみどりです。軽トラも貸してもらえるので、樹木と合わせて一気に購入してきました。購入した樹木は、モミジが二種類、マンリョウ、そして先の計画にプラスして、椿も加えました。これも耐陰性のある樹なので、裏庭でも対応してくれるはずです。
ついでに「竹垣二枚組セット現品限りお買い得超特価」というのがあったので、それも買ってきました。一枚あたり畳一枚分くらいの大きさの立派な竹垣で、展示品処分であること、補強足などの一部パーツが欠品していることなどから格安になっていた物です。これで役者は揃いました。あとは作業あるのみです。
最初の一日は、裏庭の片づけと整地に費やしました。ちょっと土を掘ると大きな石がゴロゴロ出てきて驚きました。裏庭ってどこの家もこんな感じなのでしょうか。掘り出した石はレイアウト用に活用することにしました。竹垣を塀に沿わせて設置すると、とてもいい感じの和風空間になりました。ガラクタ置き場にされて荒れ果てていたさっきまでが嘘のようです。
二日目は木を植えました。本当は購入してきたその日に植えたかったのですが、時間切れと体力切れで二日目の作業になってしまいました。木を植える場合、ごく小さな苗なら穴を掘ってそのまま埋め戻せばいいですが、ある程度育った木を植える場合は、ただ埋め戻すだけでなく、水を使って根の周りに土を流し込む「水決め」という方法で根と土の密着度を高めます。具体的には、
1.根鉢の2倍程度の大きさの穴を掘る。
2.掘った土をふるいにかけて石やゴミなどを取り除き腐葉土を混ぜて埋め戻し用土を作る。
3.穴の底に水はけの向上を期待してを火山レキを5cmほど敷き、その上に元肥として堆肥を入れ、さらに根が直接堆肥に触れないよう十分な厚さの土を入れる。
4.植え穴に対して垂直に苗木を立て、埋め戻し土を8分目まで入れ、大量の水を注ぐ。
5.棒で土を軽く突いてドロドロにし、軽く苗木を揺すって根と土と水を馴染ませ、細根の間まで土が行き届くようにする。
6.支柱を仮設し、苗の垂直を保つと共に、土の表面と根元の高さが同一になるよう固定する。あとで樹が沈んでいくと根が埋没して呼吸できなくなるので、それを防ぐ。
7.水が引いたら残りの土で完全に埋め戻していく。
8.完全に埋め戻しが終わったら、水やりの時に役立つよう、樹の周囲に直径50〜60cmの円を描いて溝を掘っておく。
ということになります。(注意:水を使って土を流し込む水決め法は、根の周りに特殊な微生物などを共生させるマツ類などには使えません。この場合は水を使わずに土を細根の間まで行き渡らせる『土ぎめ法』『棒ぎめ法』等を用いて植えていきます)
木を植えおわったら、あとは石などを思いのままに配置して完成です。あれこれいじってみて、和風の庭作りというのは生け花の造形と同じなのだと気が付きました。生け花では「芯・添え・控え」といった主役脇役のバランス関係がありますが、庭作りもそれと似ているのです。生け花は造形が一つの空間に集中する、庭作りは広い空間に造形が拡散するという違いはありますが、やはり中心となる物、それを補佐して引き立てる物、そしてそれらの配置される舞台を整える物といった役回りを意識していくのが大切なんだと気付きました。あれもこれもと置きたがらず、やや閑散としすぎるくらいにしておいた方が、引き締まっていい感じに仕上がります。今回は石が多すぎたので、思い切って地面に埋め、表面だけを地表に出すようにレイアウトしてみました。そこに苔を貼っていきます。まだ十分活着していませんが、きっといい感じになってくれると思います。
父がこの生まれ変わった裏庭をとても喜んでくれて、創作意欲が湧いてくると、墨と筆を持ってきて、お得意の書道で短冊を書いてくれました。
次はここに置く縁台でも作ってみたいと思っています。以前のいわしで語り合われていた竹林の荒廃を食い止めたいという思いを込めて、素材は竹にしてみるつもりです。竹林整備のボランティアなどをやって、その成果として手に入れた竹で作れたら最高ですね。夏休みあたりにまた何か計画してみたいと思います。


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