★(一ツ星)

「取り組み方によっては己の人生も磨かれるかもしれない(笑)/飲料の缶底で凹面鏡」by id:Oregano


ジュースなどの空き缶。底がポコンと凹んでいます。捨てられて道端に転がされていた空き缶のお尻を見て、これは磨いたら凹面鏡になると直感しました。
捨てられていた缶は自販機横の空き缶入れに入れ、かわりに新しいのを一本買って帰りました。缶はアルミ缶です。
家に帰り、さっそく缶底を磨くことにしました。早く中身を飲みたいですが、空けてしまうと缶の内圧が下がり、ペコペコになって磨きにくくなりそうだったので、まずは磨く実験が優先です。研磨剤には伝統的なこれを使いました。

ピカール液 金属磨 180g  金属磨きの定番!

ピカール液 金属磨 180g 金属磨きの定番!

これの成分は研磨剤の他は脂肪酸、灯油、有機溶剤とのことで、化学物質排出把握管理促進法に該当する成分は無しとされています。どのような物でも大量に使いすぎれば人体に悪影響を及ぼしたり環境に負荷を与えかねませんが、この製品は家庭で使うには比較的安心な製品ではないかと思います。
ピカール液をポロ布に取り、少しずつ磨いていきます。缶底はあまり平滑度がよくありませんから、鏡のようにピカピカにするのは根気が要ります。しかし磨けば確実に光ります。
変な話ですが、私はこれを磨きながら、トイレ掃除の教訓を思い出していました。便器を磨く。人の嫌がる作業を進んで行う。そのとき人は奉仕の心を身につける。便器の汚れは落ちにくい。それがピカピカに磨かれた時、人の心もどれだけ磨かれていることだろう、というような教えです。
しかし私はこの教えの中心を、「人の嫌がることをする」という道徳的教訓ではなく、便器にも愛情を注ぐくらいに物を尊ぶという資源保護・エコロジー的教訓として受け止めました。磨くなどして手入れしていくことで、人に忌み嫌われる物すら愛されるようになる。その手間を惜しむのが使い捨て社会。物を使い捨てていくことで、どれだけ私たちの心も曇って汚れていくだろう、と。
そんなことを思いながら磨くこと約30分。缶底はすばらしい輝きになっていました。それもそのはず。鏡の銀色は蒸着されたアルミですよね。アルミはピカピカになったら、それは美しい輝きになるんです。凹面鏡は拡大鏡です。顔を映してみると、休日の無精ヒゲが拡大されて良く見えました(笑)。
これを何に使おうかと考え、ためしに太陽光を集中させて、黒い紙を燃やしてみることにしました。結果は、子供用虫眼鏡よりは早く煙が上がりました。すごいですね。こんなものがレンズと同じ役目をするんです。缶底を上手に切り取って潰れないように何かを充填し、縁を危なくないように加工してやれば、喫煙者の人は、屋外でタバコに火を点ける時に使えるでしょう。
私はタバコを吸わないので、何に使おうか考えた結果、こういう感じのロウソクカンテラを空き缶で作り、
http://www.kusunoki.nagoya-c.ed.jp/sozai/retoro/r10.jpg
奥に反射鏡としてこの缶底凹面鏡を押し込んでみたところ、ちょっとした懐中電灯のように使えるくらいの明るさになりました。防火の観点から家で使うのはためらわれますが、キャンプなどのアウトドアには実用性がありそうです。
凹面鏡は窓際などに放置しておくと思わぬ出火の原因になりかねない危険性もありますが、それさえ注意すれば、ちょっとした異世界を覗くいい玩具にもなります。缶底をピカピカに磨くことでどんな価値が生まれてくるか、皆さんも色々考えて、工夫してみてください。缶底を磨くことで、人生も磨かれる“かも”しれません(笑)。


»このいわしのツリーはコチラから


ミシュランコメント

アルミ缶を磨いて凹面鏡を作る、まずこの発想にオドロキでした! 缶の底を見てみれば…灯台もと暗しではあるものです。鏡に仕立てるまでの磨き方研究、カンテラの反射鏡に活用というアイデアまで探究されたところも素晴らしい。そして凸面鏡をそのまま飾るインテリア(高価!)もあるくらいですから、この凹面鏡をいくつか並べたりひと手間加えて…と、オリジナルインテリア作りの素としても素敵なひろがりをもたらすに違いありません。「磨く」という工作行為にココロ磨きのメッセージまで託されたアイデア&マインドに、ピカピカの特大を贈ります!