「ボトルシップを5円玉宝船で」by id:fwap


長女が学校の授業で手芸を習っていたときに、手芸屋さんへビーズや生地をよく買いに行きました。そのとき、「5円玉で作る宝船シリーズ」というのが販売されていたのを見て、陳列されている手芸屋さんのお手本が見事なこと!もともと幼い頃から手先が不器用な私でしたが、裁縫だけは得意で家庭科の成績がよかった私は10年振りに手芸に挑戦してみることにしました。5円玉を集めるだけで四苦八苦、案外5円玉というのは入手しづらい。だって、おつりで出ても最高で1枚。5円玉というのは「ご縁」が薄いようです。そのため、近所の知り合いに100円玉と5円玉20枚の両替を頻繁にしてもらったりしたものです。宝船製作を進めたいと思っても5円玉が不足し、頭の中で今後の構想をひたすら練っていた時期もありました。
また、同じ時期に息子が戦車や城郭のプラモデルばかり作っていた時期、ボトルシップという一見不思議な模型が流行っていました。瓶の入り口よりも大きな舟が瓶の中で作られている。どうやって作ったんだろう。すぐさま、邪道な考えが浮かびました。瓶を後から溶接すれば、完成した舟をあたかも中で作ったように見せることができる。実際、ボトルシップというのはしっかりとピンセットと接着剤で模型を作るものです。近所の模型屋さんに息子を遣いに出し、ボトルシップの作り方を聞きに行かせました。まさか、母親が作っているとは思っていなかったことでしょう。
そのとき、瓶の中に5円の宝船を入れることはできないかと急にですが、何かの思いつきのようにひらめいたものです。「手芸+工芸、プラモデル以上の魅力、手芸以上のやさしさ」。ボトルシップを5円玉宝船で再現できたらカッコイイだろうなと思い、作ってみることにしました。当時、大型の瓶と言ったら業務用の日本酒の瓶。およそ5Lが最大。(当時は、尺貫法で表わされていたので正確な容量が分かりませんですが。)手芸屋さんで売られているキットをそのまま瓶の中で作ることができないので、自分なりに舟の模型の下図と5円玉宝船の縮尺を作りました。なかなか縮尺をした5円玉の宝船を造ることができない。バランスを取るのが難しい。なので、いびつで無骨な宝船ができました。本来ならば宝船には七福神全員が乗れるくらいの大きさの舟ですが、私が作った5円玉宝船は多くて3人しか乗れなさそうな渡しの舟のように頼りない、小さくて細長い宝船が完成しました。
また、瓶の中で宝船を作ることはあきらめました。そもそも、5円玉が瓶の口を通りません。そこで、邪道の後から「溶接」する方法を取りました。溶接したことがなかったので、溶接は近所の板金屋さんお願いしました。手慣れたプロでも大きめの瓶でも溶接をすると溶接跡が大きく見えてバレバレです。加えて、なんども瓶を酒屋さんからもらってきて、用途を尋ねられたものです。溶接は一気に高熱でガラスを切断し、熱気が発する瓶の中に5円玉宝船を入れます。2つに切断されたガラスを再度つなげるために熱を加えて、宝船・イン・ボトルシップは完成です。
5円玉で作っただけの宝船でも手が凝ったように見えますし、さらに瓶の中にあると壮観。それも大きな瓶なのでさながらプロが作ったように見えます。制作期間は材料・素材集めを含め2ヶ月。本当に手間かかった道楽でした。娘も長男もどっちも気に入ってくれたのが少しうれしかったです。当時、写真を撮っておけばよかったです。「瓶」の中に「お守り」代わりの「縁起物」、私の作った宝船・イン・ボトルシップはすぐさま子供たちに飽きられてしまい、航行には失敗しましたが不揃いな舟、見えてしまっている溶接跡が大笑いです。
ボトルシップと宝船、2つを組み合わせてみると楽しい「招福舟」ができますよ。


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