「ウールのセーターの洗濯・できるだけ環境負荷の少ない方法を工夫する」by id:YuzuPON


地球温暖化防止にセーターは欠かせません。家の中でもセーターを一枚着ることで、暖房温度を一度以上下げられます。このように冬に大活躍してくれたウールのセーターを、出来るだけ環境負荷の少ないやり方で洗濯する方法を考えてみました。
まず失敗のない洗濯のために、ウールの性質を科学(笑)することにしてみました。ウール洗いで一番恐ろしい失敗は縮んでしまうことですが、色々調べていくうち、次のようなことがわかりました。
ウールにはスケールと呼ばれる髪の毛で言うキューティクルのようなものがあります。毛糸を水に濡らすとこのスケールが開き、その状態で擦れ合うとフェルトのように糸同士が絡み合ってしまうのです。これが収縮の原因だということがわかりました。
このフェルト化を防ぐためには、水に漬けたらできるだけ動かさない。これに限ります。セーターはソフトに押し洗いの理由がこれでわかりました。押すのもできるだけひかえて、洗剤の力だけで汚れを浮き立たせて洗うことができればそれが一番のようです。
続いて、使う洗剤について考えてみました。物理的に揉んだり擦ったりできないわけですから、ここは界面活性剤のお世話にならないわけにはいかなさそうです。しかし合成洗剤は使いたくありません。使うならせめて石鹸です。純石鹸ならセーターを洗うくらいの量なら自然に分解されていきますから、おそらく下水処理にあたって高負荷になることはないでしょう。それに石鹸なら分解物が環境ホルモンになったりすることもありません。しかしウール洗いに石鹸なんて使っていいのでしょうか。調べてみました。
すると石鹸はアルカリ性なのでウール素材には使えないというのは迷信で、クリーニング業界では問題なく使っている、石鹸はアルカリ性といっても強いアルカリ性ではないので、ドライマークのニットを洗うことも可能であると書かれている物を見つけました。
ウール専用やドライマーク専用の洗剤とは、それ用に失敗を少なくする工夫がなされている製品ということで、それ以外で洗えないという意味ではなかったのです。したがって、よく注意して洗うなら、石鹸でウールが洗えます。
次にセーター洗いの実際ですが、ポイントは、
1.短時間で洗い上げること
2.洗いからすすぎまで水温を変えないこと(ウールの性質と石鹸の性質を考えた適温は30℃)
ということのようです。適温を保ちながら短時間に洗い上げるためには、使用する全ての水を、すすぎ水まで含めてあらかじめ用意しておくことが大切です。すすぎは十分に行う必要がありますから、30リットルくらいは必要でしょう。
洗濯前にシミやひどい汚れをチェックし、あればその部分を濡らし、濃い石けん液で慎重に叩いて部分的に汚れを浮かせておきます。
続いて洗濯液を作ります。石鹸には溶け残りのない液体石鹸を使いました。したがって界面活性剤の成分は脂肪酸カリウムということになります。セーターを入れて軽く押したときに手首まで来るぐらいの温水に液体石鹸適量を溶かします。
ここに厚さが平均になるように畳んだセーターを漬けて洗います。ただ水没させただけでは折り目の中に洗濯液が通りませんから、それを助ける意味で、ごく軽く押し洗いします。毛糸のフェルト化を防ぐように注意しながら、一押し2秒、あくまでふんわり、全体にまんべんなく30回。これで所要時間は1分です。押すことによる物理洗浄で汚れを浮かそうとは思わないこと。汚れは石けん液の界面活性効果が担当する。そういう意識が大切です。
終わったらそっと両手で持ち上げ、二つ折りにして軽く押して洗濯液を切ります。
すすぎはたっぷりの温水を使い、洗っていた時と同じ状態に畳んだまま、軽く押さえてすすぎます。畳まれた部分をちょっと持ち上げてすすぎ水を通すのはいいですが、畳んだ状態はそのまま保ちます。2回ほどすすいで、これで所要時間3分くらい。
脱水は、早く水を切った方がいいですし、無理に絞ろうとしてフェルト化を促進してしまってはいけませんから、ここは洗濯機の脱水機能に頼ることにしました。時間は1分ほどとしてみました。
最後は干し方です。陰干しはお約束ですね。直射日光は縮みの原因になるだけでなく、色あせの恐れもあります。またハンガーなどに掛けて吊って干すのも型くずれの元になりますから、よく乾いた無地のバスタオルを畳んでその上にセーターを乗せ、平らに寝かせて乾かすことにしてみました。バスタオルの上でていねいに形を整えていると、着ている時とはまた違った愛着が湧いてきました。完全に乾いた所で仕上がりをチェックしてみましたが、大成功でした。縮みは全くなく、型くずれもなく、フェルト化を防ぐことに最も重点を置いたからか、ふんわり感も全く損なわれていないようでした。
これでウール洗いに自信が持てました。手編みのセーターも、環境を過度に損なうことなく、大切に洗えると思います。来冬、どなたか私に編んでくださる女性の方はいませんか(笑)。


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